レックスの学園生活

レックスの学園生活

「こんにちはー」
 マジック伯父さんに連れられて来た学校は、綺麗で設備も整っているところだった。前にも来たことあるけど。編入試験も受けたんだよな。俺。
「宜しく。レックスくん。私はガンマ学園初等部校長のリリー・マルレーンです」
 校長先生は太った優しそうなおばあさんだ。
 リリー・マルレーンか……そんな歌があったような気がする。やせぎすの男の先生(なんだろうな、やっぱり)が紅茶を持ってきてくれた。とても清々しい香りだ。アッサム茶かな。
「レックスくん、おいくつ?」
「八歳」
「そう……学校の皆と仲良くしてあげてね」
「はい!」
 レックス(王)の名に恥じないような生徒になろう――これが俺の誓いだった。親父のこともあるし。
「実はね……私、ハーレムさんとクラスメートだったことがあるの」
「へぇ……」
 じゃあ、親父の学生時代のこととかも知ってんのかな。ま、それはおいおい訊くとするか。
「リリーさん。ハーレムとレックス――親子二代であなたにお世話になる訳ですね」
「ええ、そうね。――案内してあげるわ」
 リリー先生はマジック伯父さんと小難しい話をしている。欠伸が出そうだな……。
「校長先生~」
 何人かの子供達がやって来た。この学校の生徒だろう。
「皆さん、こんにちは」
「こんにちはー」
「ねぇ、その子誰?」
「レックスくんよ。皆の仲間になるの。宜しくね」
「宜しくー」
「レックスくん、私エリザベス。仲良くしようね!」
「あ、ああ……」
 俺はちょっとくらくらした。
「リズは私の孫娘なのよ」と、リリー先生が言う。そっかぁ。なかなか可愛いじゃん。
「僕はバリー。学級委員長だ。友達が出来て嬉しいよ」
 俺は、クラスのみんな――とりわけリズとバリーと仲良くなった。

「楽しそうだね。レックス」
 サービス叔父さんがほほえみかける。
「うん。学校楽しいから。――勉強とテストさえなければ」
「ハーレムも同じようなこと言ってたな。――似たんだな」
 叔父さんがくすりと笑う。こんな妙なところで似ていても仕様がない。
「だが、知能テストではかなりの好成績を上げたらしいぞ」
 マジック伯父さんが言う。
「知らないもんね。そんなこと」
 ――つい、照れ隠しに口答えしてしまう。親父もIQは高かったらしい。――まぁ、サービス叔父さんの双子の兄貴だもんな。サービス叔父さん、いかにも頭良さそうだしな。
「あ、そろそろ行かなくていいのかい? 私が送ってあげようか?」
「いらない」
 学校では制服登校が義務付けられている。俺はあんまりそういうの好きじゃないんだけど、制服のデザインが気に入ったので、特に不平も言わなかった。
「勉強、頑張るんだぞ。――お友達は大切にな」
 もう――マジック伯父さんたらそればっかりなんだから……俺をいい子に育てたいというのはわかるけど。
 それに、友達ならもう既に出来てるし。
「レックスくーん」
 お、うわさをすれば。
「よぉ、リズ」
「やぁねぇ。レックスくん。私はエリザベスなんだって、何度も念を押したじゃない」
「言いにくいんだからいいだろ。リズでも。それに、みんなリズって呼んでるじゃないか」
「もう、しようがないなぁ」
「そんなことより早く行こうぜ」
 俺はリズを引っ張っていく。途中でバリーに会った。
「おはよ、バリー」
「おはよう。レックスくん。今日はいい日だね」
「リズがいるから――だろ?」
 リズは金髪巻き毛の人形のような外見をしている。それに青い目で。口を開かなければ最高に可愛いんだけどな。――ま、人間どっか欠点はあるわな。リズは口うるさいのが欠点で。
 でも、バリーとリズはお似合いだから、何とか二人が上手くまとまればいいなと思う。
「うわっ。今の車あぶなーい」
 道路に出ようとしたリズが足を止める。
「大丈夫かい? リズ」
「うん……」
 俺は、去っていく車にバカヤロー、と叫んだ。
「そんなことより、今日は国語と算数のテストがあるよ」
「げー」
 算数はともかく、国語はなぁ……フィクションの登場人物の考えなんて知らねーよ。 
「レックスくん、五十点以下は補習だからね」
「学校での補習は三十点以下じゃん」
「この僕が直々に勉強を見てやるんだ。ありがたく思えよ」
「ふん」
「まぁまぁ、二人とも。早く学校行こうよ。ケンカばかりしてると遅刻しちゃうわよ」
「そうだ――やべ」
 俺はシンタローから贈られた腕時計を見て言った。キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴る。俺達はぎりぎりで間に合った。
「よっ、レックス」
「おっはよ~」
「おう」
 俺はダチどもに手を挙げる。俺は友達は多い方だ。親父もそうだったらしい。――自然とテレビの話題に移る。
「今はアニメが不作でさ~、何かいいアニメねぇ?」
「ごめん、俺ドラマ派」
「バラエティーも多くなったよねぇ」
「あれヤラセだろ。みんな言ってら」
 そこへいつぞやのやせぎすの先生――フルミ先生が入って来た。出席を取る。みんな来てるんでフルミはご満悦だ。
「よーしよし。これから楽しい楽しいテストの時間だぞー」
 うめき声があちこちから上がる。もちろん、俺もイヤだ。フルミの授業は楽しいし面白いけど、この先公、怒ると怖いのがたまにきずなんだよな。
「いつもの授業を真面目に受けていれば、必ず解ける問題ばかりだ。皆、頑張るように」
「はーい」
 算数はまぁ何とか及第点。国語は……きかないでくれ。
「レックスく~ん。補習しよっか~?」
「うむ。俺も協力するぞ」
 げー。バリーとフルミ先生、タッグを組んだのか……まぁいいけど。
「君は国語のセンスはあるのに何で点数が低いかなぁ……」
 ――だから知らねぇって。
「漢字が苦手なのはわかるんだけどなぁ……」
「君は字下手過ぎるだろう。習字でも習い給え」
 ぐっ、フルミにバリー、この二段構えの攻撃はきつ過ぎる……。でも、やるしかねぇんだ。やるしか。それが、俺を引き取ってくれた伯父さん達の恩返しになるのなら。死んだ親父の為にもなるのなら。
 しかし、俺は一時間も経たないうちにぐてっとなった。フルミやバリーのせいではねぇけど……俺には国語の教科書が敵に見える。
「ふむ、まぁいいだろう。――よく頑張ったな。バリーにレックス。職員室に来たまえ。お茶でもご馳走してやる」
 それは嬉しい特典だけどな……しかし疲れたや……。
「レックスくん。居残り終わった? 帰ろうよ」
 リズが教室のドアを開ける。フルミはリズも誘ってささやかなお茶会を開いた。つれぇこともあるけど、学校も悪かねぇな。

後書き
学校に行くことになったレックスの話です。
リリーというのは『HS ~ある双子の物語~』に出てくる女の子です。リリーも結構いい年だよね。
リズもバリーもお気に入りです。自分で作ったオリキャラは可愛いものですね。しかし、やっぱりパプワの世界から離れつつある……(笑)。
2018.08.10

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