士官学校物語・春
後書き
 どうだったでしょうか。士官学校物語・春。
 士官学校トリオ+αの物語は。


 当初はなりきり掲示板主体のHPとして発足した当サイトですが、ある日たまたま書いてみたお話を載せてみたら、思いもかけず見ていてくれる人がいらっしゃいまして。「じゃあ、あれも載せちゃえ。これも書いちゃえ」と調子に乗った結果が、この作品なのであります。
 しかし、まがりなりにも、ちゃんと終わったのは奇跡だねぇ。かなりかっこ悪いが、途中でやめるということも、覚悟してたから。リアルタイムで話を進めていくというのは、さすがに無理だったけど。
(やっと春のパートが終わっただけだから、ほんとの意味で終わったとはいえないんだけどね)
 しかし、こんな初めも終わりもよく決めず、行き当たりばったりの展開してくってのは、もう二度とやりたくないね。

 この話の着想を得たのは、高一の時なんですが、話を進める上での手がかりといやぁ、たったの数シーンしかなかったんですよ。(その数シーンも、いくつかは実際に使わなかったりしてね)

 夏休み。家族と旅行に行っていたサービスは、寮の部屋に帰ってくる。(二人部屋)
 缶ビールを飲んで、酔って目のすわったジャンがじろりとサービスを見遣る。


S:「ただいま」

J:「………」

S「どうしたの?」

J:「どうもこうもねぇよ」

 缶ビールを持ったジャン、サービスに詰め寄る。

J:「いいかぁ、サービス。俺に謝れ」

S:「え、なん――」

J:「あ・や・ま・れ!」

S:「冗談。なんで僕がおまえに謝んなきゃいけない」

J:「――特に意識したことなかったけどさ、この部屋、一人だとすっげぇ広いんだよ。お前、この部屋に一人でいた経験は?」

S:「ないけど…」

J:「お前は俺を置いていったんだ。――置いていったんだ」

 その後、サービスは高松に相談に行く。その時の高松の台詞が確かこうだったと思う。

T:「そういう顔は、あなたにしか見せなかったんでしょう。あなたを頼りにしてるんですよ。彼は」

 この後、ゆうべは酔って記憶がなかったというジャンにサービスは、
「君は廊下で、みんなのいる前で裸踊りを披露したんだよ」
と、『謝れ』と詰め寄られたことへのささやかな逆襲をするのだが―――


H(ハーレム)(この時点では寮生なのね):おーい、手紙が来てるぞ。

J:は、ハーレム、ゆうべ俺の裸踊り見たか?!

H:ばぁか。誰がてめぇのキタネー裸なんか見るかよ。――貴様にも来てるぞ。ほら。

J:なんだよ。キタナイ裸って! 見たことあンのかよ!

 だが、あっさりハーレムに無視され、手紙も気になるジャンは、結局部屋に戻っていく。

 しっかしこのシーンだけを頼りに話を書いてったんだから、我ながらかなり無謀だったと思うよ。(しかも、物語には一見全く関係なさそう)
 あと、生まれて初めて“風邪”をひいたジャンをサービスが看病した(というか、おにぎり作ってあげた)というエピソードもあるのですが。
 最初はジャンとサービスだけの物語だったんです。他は脇役で。(正直、その方が書きやすかったろうなぁ)
 ハーレムが出張ったり、高松の視点から見た話も書きたいと思うようになるとは、当時から見りゃ、些か予想外だったでしょうね。


 見ての通り、原作にはあんまり関係なく、「こういうモチーフを使ってこんな話を書きましたよ」という感じです。後はどう思おうが自由です。
 『キャラにまつわるエトセトラ』の『Jにまつわる不信』でさんざんなこと書いておきながら、(文章は残してあります。趣味の部屋(注:現在は企画・よろずの部屋)のリンクからとべます)ジャンを主人公にした話を書くとは、いったいどういうつもりだと自分でも思うんですが、えーとですね、私は昔、すっごいジャンファンだったんですよ。
 こういって良けりゃ、愛してさえいた―――笑わないでくださいよ。ガキはガキなりに真剣だったんです。
 ジャンファンなんているかもしらんが、少ないだろうなぁ…って思ってた。だから、ジャンが結構人気あるって知ったときゃ、単純に嬉しかったなぁ。
 同人誌見て、「いつかこんな話が書きたい」って思った。(結局全然違うものになってしまったけど)
 サービスも好きだったんで、長らく彼らは私にとってのベストカップルでした。
 いつものように、「楽し楽し」だけでなく、痛い様な、懐かしい様な気分にもなりましたねぇ。あと…ちょっと恥ずかしかった。
 このジャンの大部分はおそらく当時の考えの反映…あと、悩みの部分は今の自分の持っているのと同じ。だけどねぇ、今の今設定し直したら、多分も少し、したたかな性格になると思うよ。


 この話は、ジャンファンのために…というより、かつて熱烈なジャンファンだった過去の自分のために書いたような話です。同時に、現在の私のためにも。
 全く…そんなんだったら、自分一人でやってりゃ良さそうなものだが、こういう機会でもないと、腰が上がんないんですよ。私。
 ま、結構恥ずかしいこと書いてしまったけど、いっか。全部まとめて過去の私に送っちゃえ。受けとらんかもしらんけど。


 あとお詫び。この物語で『日本円は使えない』って設定になってたけど、高松がサービスに借りていた金額は『四万円』なんですね。ここは私のミスです。自分でもさんざんネタにしていた設定をどうして忘れたのか、不思議で仕様がありませんが。きっと話の小道具として、一度使ってみたかったのね。緑のお札(笑)。
 もしそれで話の展開にどうしても不都合が起こるような場合は、後で直すでしょう。


1999.7.某日  夕城さなえ

追記
 この
作品、長らく封印してました。
 わけは、『士官学校物語・夏』の時に、続けられなくなったからです。
 でも、「楽しみにしている」と言ってくださる方々がいまして。
 それだけではないけど、私もちょっと、「やってみようかな、このシリーズ、完結させてみようかな」という気になったのです。
 もちろん、できるかどうかわかりません。すっごく不安です。
 でも、不安ながらもやってみよう、そう思います。なに、書けなくなったらしばらく放っておけばいいんです。
 もし、良かったら見守っててくださいね。
 あと、通貨単位に関する部分は直しておきました。これからもこういうポカやるかもしれませんが、気がついた時点で直していこうと思います。

2001.8.31 Tomoko

BACK/HOME