Gが恋した相手

※この話は18禁です。

 ガンマ団特戦部隊隊員のGは、隊長のハーレムの部屋へ向かって行った。
 眼光鋭い眼、黒く強い髪、人は彼に出会えば思わず道を譲る。
 だが、彼はそんなことに拘泥する男ではなかった。
 一部の例外を除いては――。
「あっれー? G、どこ行くの?」
 金髪の髪の男が声をかけた。これが、例外に位置する一人、ロッドである。
 ロッドは子供の頃、ベルヒ軍と戦っていたハーレムの部隊の基地に入り込んだことがある。
 やがて、時は流れ、大人になったロッドはガンマ団特戦部隊の期待の星になっていた。――期待の星と言っても、自分がそう名乗っているだけなのだが。
 確かに風を操るという面白い能力は持っているし、体も大人になったのだが、子供の頃のちゃっかりした性格は直っていない。どころかますます抜け目がなくなった。
 彼はへらへらしながら言った。
「隊長のところへ行くの~?」
 Gは無視して行こうとした。
 ロッドは可愛げはあるし、いろいろユニークなのでGとしてもつきあいにくくはないのであるが、今は急がなければならない事情がある。
 その事情を見透かすかのように、ロッドはラベンダー色の目を眇めた。
「隊長と寝るの? これから」
 ズバリと訊く。
 違う――そう言えたならどんなにいいだろう。
 ロッドの厄介なところは、他人の事情に通じているところである。
「…………」
 Gはしばらく黙っていた。Gは元々寡黙な方なのだが、この沈黙はいつもとは性質が違う。
「当たり?」
 ロッドはGの顔を覗き込むように言った。
「いいよねぇ、あの人。鍛えてるからきっと体締まってるだろうし。――ねぇ、隊長のところへ行くの?」
「――そうだ」
 ロッドに隠し事をしても仕様がない。Gは頷いた。
「俺もいっぺんお相手願いたいよなぁ。子供の頃からの憧れだったもん」
 憧れ、ねぇ……。
「今も子供みたいなもんだろうが」
「そりゃあ、Gみたいなオッサンに比べればね」
 オッサン……。
 確かに、Gみたいに年を重ねてきた男はロッドにしてみればおじさんだろう。しかし、大人には大人にしかわからないことがある。
 ロッドみたいなガキは、ハーレムの方が相手にしない――だろうとは思う。
 何故なら、ハーレムはGにしてみれば些か割り切れない性格をしているからだ。
 昔、無理矢理犯したGを許し、あまつさえ右腕に抜擢した。心が広いかと思えば、つまらないことで子供じみた喧嘩をする。
 まぁ、Gはハーレムを甘やかし、全てを受け入れていたのだが――。
「G、今から来い」
 ハーレムから電話があった。それは、情事の誘いであった。
 ハーレムを心密かに想うGにとって、それに否やはなかった。
 ロッドに言い当てられてもGはそれほど動揺もしなかったし、腹も立たなかった。
 それは、ロッドにはどこかハーレムに似たところがあるからかもしれない。男女問わずもてるところも。
「あ、今の、ハーレム隊長には内緒にして。恥ずかしいから」
 弱味を見せたくないところも、似ている。
「わかった」
 どうせ伝える気はなかった。
「えへへ……」
 ロッドは離れる気はなさそうだった。何だと言うのだろう。
 今、ハーレムは己を待っているに違いない。早く行かないと。
「どうした? ロッド」
「ん。ハーレム隊長を娼婦にした男って一体誰なんでしょうかねぇ、と思って」
 肩を竦めながらロッドは言った。
 それまで一部の人にしか気づかれていなかったハーレムの娼婦性。それが、ある時期を境にフェロモンを垂れ流すようになった。
 ハーレムは男を知っている。それは、周知の事実である。
「誰だっていいだろう、別に」
「そうだね。どうせ俺には関係ないし。ただちょっと興味があっただけ」
「好奇心猫を殺す、という諺を知らないか」
 どこの国の諺だったか――どこかで聞きかじった言葉をGは使った。
「うん。知らない。じゃ、俺、もう行くわ。お二人の邪魔しちゃ悪いし」
 ロッドは切り替えの早い男だ。
 Gはハーレムをこの男に取られたくない、と思った。ロッドでなくても、ハーレムの愛を勝ち取る為に競う。たとえそれが、ハーレムの双子の弟サービス相手でもだ。
 ハーレムはサービスのことが好きだ。
 長年ハーレムを見てきたGは、ハーレムが兄弟の情というにはしたたかな愛情をサービスに抱いていることを知っている。
 サービスがどう思っているかは知らないが、悪い気はしていないに違いない。
 ロッドは既にいなくなっていた。Gはゆっくりかぶりを振るった。
「G!」
 酒を飲んですっかり出来上がったハーレムがGの懐に飛び込んだ。豪奢な金髪が視線の下にある。
「待ってたぞ。G」
「昼間から酒ですか……」
「嫌か? ダメだったら酒精抜いてくるけど……」
 Gがハーレムの唇を奪った。
「酒の味のキスも……好きです」
「そうこなくっちゃ」
 Gはハーレムを壊れ物のように丁寧に扱う。
 最初の時はそうではなかった。力に任せて無理矢理に押し倒した。
「あ……」
 ハーレムが小さく声を上げる。Gは相手のスカーフを緩めた。
 わざとウィークポイントの乳首には触れない。
「G……お前はいつも焦らすな……」
「――性分なんです」
「嘘吐け。お前が本当は激しいヤツだということは知っている」
 長い付き合いだから――というより、最初の時激情に任せてハーレムを押し倒したGである。自分でも持て余す程の熱情をGはハーレムに対して持っている。
 何年も待った。何年も――。十年以上も。
 その情熱が爆発したのは、そう遠い過去のことではない。
 ようやく右の乳首の珠飾りに触れると、ハーレムは艶めいた声を出した。
 焦ってはいけない。ゆっくり、ゆっくり――。
 ハーレムは自分も気持ちいいのは勿論だが、相手も感じてくれないと気が済まない――そんな質だった。
 全く――優しいんですから。本当に。
 Gはハーレム以上に体の相性がぴったりな男とは寝たことはない。サービスの体よりしっくりくる。
(渡したくない。ハーレム。この世の誰にも)
 ハーレムは本当の『最初の相手』のことについてはどうしても口を割らない。今のGには大体見当はついているが。
(よほど……嫌だったのでしょうね)
 ハーレムの忌まわしい記憶を己が消せると思う程Gは単純ではない。それに、本当に『忌まわしい』のかどうかもわからない。
 今は、ハーレムを満足させる為に行為に没頭する。そして、己も快感を得る為に。
「うっ……あっ……」
(ロッド……)
 あの男もハーレムが好きだと言っていた。
 全く。どれだけライバルが多いのだ。ロッドの噂は聞いている。ロッドがいるからといってGをお払い箱にするようなハーレムではなかったが、何となく不安を感じた。
 更に、サービスがいる。
 ハーレムはサービスを愛している。密かに二人の写真を隠し撮りする輩もいるくらい、彼らの仲は認められている。
 ――ハーレムの体は徐々にGの理性を奪っていく。Gも考え事をする余裕がなくなってくる。
 ハーレムが勢い良く達した直後、Gも彼の中に精を放った。ハーレムの体からは甘い蜜の香りがした。

後書き
以前書いたGハレです。確かグッドナイトシリーズの続き? 密かにロド→ハレでもあります。
モテモテですね。ハーレム隊長。
私はサビハレも好きです。
2014.11.15

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