ニールの明日

第三十三話

タラントの街。
元クルジス国境付近に接している。
ここで、刹那とニールはジョシュアと別れた。
「また来いよ」
ジョシュアは刹那とニールをそれぞれ抱きしめた。彼は泣いていたような気がする。サングラスで表情が隠れていたが。
ジョシュアは、タクラマカン砂漠では敵味方だった。それなのに、今は友達だ。不思議なもんだとニールは思う。
(昨日の敵は今日の友……か)
刹那をここまで守ってくれた恩もある。何が彼を変えたのだろうか。どこかにいる神様?また会う日まで元気でいるといい。
「ジョシュア、今までありがとう!」
ニールが声をかけると相手は振り向いて手を振った。
「スティルとレイにも宜しくな」
刹那はしかしぼそっと言ったのには気付かないようだった。
だが、思いは伝わるだろう。
「刹那」
「何だ」
「あいつら、いい奴らだったな」
「……そうだな」
刹那が微かに笑んだ。「おまえは……元からクルジスに行く気だったのか?」
「ああ。そんなところにおまえがいるとは思わなかったがな……俺は、逃げてたんだ」
「誰から?」
「幸せから……かな」
「はあ?」
ニールは素っ頓狂な声を上げた。
「でも……おまえと会いたかったのも本当だ」
「何だよ、それ。わけわっかんねぇ」
「おまえの隣にいる時と、ガンダムに乗っている時は幸せだから……」
ああ、もうその先は見当がついちまう。
「俺はおまえだ」
ニールはこそばゆさと誇らしさでむずむずした。
「じゃあさ、結婚しようぜ」
「昨日したと思うが?」
「本番だよ」
「言っておくがドレスは着ないぞ」
「わかってます」
ニールが小切手を懐から出した。
「王留美からの報酬だ。これで指輪を買おう」
「たかが指輪の為に……とは、言わなかったか?俺」
「さあな、覚えてねぇな」
少なくとも自分は覚えていない。
「あのリャドから買ってもらった指輪だけでいい」
「そっか……まあ、この小切手は刹那のでもあるのだからな。それでもおまえに……プレゼントしたかった」
「悪いな。期待に添える反応じゃなくて」
「いいとも。そんなおまえさんを好きになっちまったんだから」
強いて言えば俺が悪いんだ、とニールは思った。
けれど、刹那のことは本気だ。
刹那と行動を共にしていたのがジョシュアみたいな奴で良かった。さもないと、嫉妬でどうなってしまうかわからないから。
ニールはアリーにも嫉妬していた。アリーにも刹那にも恋愛感情がなかったにも関わらずだ。
「今夜の宿取るぞ」
「ああ」
刹那は表情を変えずに答えた。『宿を取る』の意味がわかっているのだろうか。
今夜は寝かせないぞ、刹那。

「あ……あ……ん……」
刹那が嬌声を上げる。ニールはリズミカルに腰を動かす。
やがて……ニールと刹那はお互いにほぼ同時に達した。けれど、ニールの中心はまた硬度を回復した。何度刹那を穿っても足りないかのように。ニールは刹那に飢えていた。
「ニール……抜いてくれ」
「……何でだ?」
「シャワー、浴びたい」
「そっか。俺ら、汗と精液まみれだもんな。それが終わったらまた一戦しようぜ」
全く、と言いたそうな顔で刹那は微笑んだ。
何度も放出したというのに、ニールの下半身には熱が集まった。
(おまえって……罪な奴だぜ、刹那)
「?」
刹那は小首を傾げている。
「何か言ったか?ニール」
「いや、別に」
ニールはごまかし笑いをした。
刹那から長大なペニスを抜いてやる。ニールの精液がこぼれた。
「おまえも風呂入るか?」
「いや、俺は後ででいいよ」
刹那と入ったら我慢できる自信がない。そんなことを言ったら、刹那に殴られるだろうか。刹那に殴られるのはどうと言うこともないし、むしろ願ったりの部分もあるのだが。

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