それぞれのキャラクター考
「ねぇ、不二先輩。手塚部長って昔からああだったの?」
越前リョーマが不二周助に訊いてみた。
「ああだったの、とは?」
「何かお堅いというか……真面目っていうか……」
「融通は利かないよね」
不二がくすっと笑った。
「うん。昔からあんな感じ。前より真面目になった気はするけど、青学の部長であるという責任感が彼をそうさせたんだろうね」
「一年の頃から眼鏡はかけてたんだよね」
「うん」
「青学の人達って、皆いい人だよね」
「僕も?」
「うん。不二先輩も」
「ありがとう」
不二はいつも笑顔を絶やさない。
「桃先輩もくせものなんて言われるけど、熱いハートを持ってるしね」
「そうだね」
「大石先輩も『青学の母』なんて呼ばれてるしね」
「うんうん」
「おい、アップ始めないか!」
手塚の声が飛んで来た。
「あっと……今の聞かれたかな?」
「聞かれて困るような内容ではないと思うけどね」
不二と越前は走りながらこう喋る。
「手塚部長は真面目な学級委員長って感じだよね。それじゃ、同じ部長の跡部さんはどうかな?」
「氷帝の?」
「うん」
「越前、彼のこと気にしてるよね」
「そうっすかね」
言いながらも越前は帽子のつばに手をやった。不二が言う。
「あの人は一言で言って、ガキ大将だったんじゃないかと思うんだけど」
「あ、やっぱり? 今もそうっスよね。ガキ大将というか、サル山の大将って感じだし」
「越前……それは失礼じゃないかな?」
「何で? オレ、本人に直接言いましたよ。『サル山の大将』って。それに、あの人そんなことで気を悪くする人じゃないし」
「――まぁ、跡部のことは越前の方がよく知っているみたいだね」
「どういう意味っスか」
「ふふっ。好きなんだろう? 彼のこと」
「う……まぁ、思ったより嫌な人ではなかったですけど」
「そうだね。でなきゃ二百人の頂点に立てないよね」
「――不二先輩は何かミステリアスですよね」
「僕が?」
「うん。ニコニコしているかと思えば急に目を見開くし」
「そっかぁ……自分では自覚がないけどな」
「でも、目を開いた不二先輩もかっこいいっス」
「褒めてくれてありがとう」
「菊丸先輩もすごいですよね」
「うん。彼らのダブルス、すごかったよね」
「一人でダブルスっていうのも……」
「普通はなかなかできないよね」
「何気に河村先輩もすごいし」
「彼もいいもの持ってるけど、やはり実家の寿司屋を継ぐのかな」
「そしたら毎日行きたいっスね!」
「値段も手ごろだしね。俺も行こうかな」
「何しゃべくってんだ? 二人とも」
桃城武が越前の帽子をぺしって叩いた。
「別に……知り合いのこと喋ってたっす。青学の人達のこととか」
「一部青学の生徒じゃない人もいたしね」
「まぜっかえさないで下さいよ、不二先輩」
「クスッ」
「何の話だよ」
「いや……桃はいいヤツだって越前も言ってたよ」
「そか。サンキュな」
「海堂先輩だって悪い人じゃありませんよね。見た目怖いけど」
「それ、海堂に言わない方がいいよ、越前」
「そうだな。俺、四天宝寺の奴らと試合した時、海堂とも仲良くやれそうな気がしてきたぜ」
「――海堂がね、『桃城はそんなに嫌なヤツじゃねぇけど、会うと何でか喧嘩になっちまうんだ』って言ってたよ」
不二が言った。
「気が合わないっていうのとも違うみたいだね。喧嘩するほど仲がいいってヤツなんだろうね」
「まぁ……な」
桃城も素直に認めた。
「乾先輩は謎ですよね……ミステリアスとかそういうんじゃなくて、謎」
「そうだね、謎だね」
「俺、ちょっと苦手っス」
「読めないからねぇ……彼は」
「不二先輩はどう思ってるっスか?」
「冷静に見えて熱血漢だと思っているよ。乾汁も美味しいし」
「……あれを旨いと思えるのは不二先輩ぐらいのものっス」
「俺もそう思う」
桃城が越前に賛同した。
「でも、青酢はカンベンだな」
「不二先輩にも苦手なものがあるんスね」
越前が面白そうに笑う。
「僕にも苦手なものぐらいあるよ」
「聖ルドルフの観月さんとか?」
「ああ……あの人はあまり仲良くしたくないタイプだね。裕太は気に入っているみたいだけど」
「不二先輩はあの人に裕太さん託すことにしたんスか?」
「仕様がないよね。裕太はあの人にべったりだから。観月も生まれ変わったようだし」
「不二先輩のおかげじゃないっスか」
「そうだとしたら嬉しいね。裕太もルドルフの人達のことは気に入っているようだよ。観月のこともね。電話しても観月のことをよく喋っていて――というか、観月のことばかりなんだけど」
「赤澤さんのことは?」
「喋るけど、断然観月の方が多いね」
「お兄さんとしては可愛い弟取られたようで面白くないってか?」
「何を言うんだ、桃」
「だって、眉間に皺が寄ってる」
「……一本取られたね」
「そりゃ、俺、くせものっスから」
桃城が得意げに言った。
「俺達、いろんな人達と対戦できて幸せだったよな」
「まぁ、一筋縄ではいかない人達ばかりではあったけどね」
「――これからもいろんな強い奴と戦えるといいな。試合の時の興奮は忘れられないから」
不二と越前も桃城に対して素直に答えた。話しているうちに、ランニングは終った。ドリンクを飲んだら練習が待っている。
後書き
2019年7月のweb拍手お礼画面過去ログです。昔書いたもの。
ちょっとリョ跡風味も入れてみました。裕太と観月の関係も好きです。
だけど、一年トリオのことが書かれてないぞ、当時の私ー!
2019.08.02
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