真ちゃん専用LINE

瑞希:じゃーなー、高尾。
木崎:またなー。ちゃんと寝ろよー。
高尾:おう、またなー。

 オレは、クラスメート達のLINEから落ちた。
 そして、あるところにアクセスする。
 この瞬間はいつもドキドキしている。
 あいつはいるだろうか……。

高尾:やっほー、真ちゃん。

 オレは真ちゃん専用LINE(オレが勝手に名づけた)に入室する。

緑間:遅かったのだよ。高尾。
高尾:ごめんごめん。真ちゃん。宿題が結構かかっちゃって。それにダチと話していたもんで。
緑間:ふん。
高尾:あれ? 真ちゃん、妬いてんの?
緑間:そんなことないのだよ。ただ、『ふん』て書いただけで。
高尾:オレは真ちゃんのものだよ。真ちゃんv 真ちゃんていつもオレより先に来てるよね。
緑間:宿題終わったらやることがないからな。
高尾:LINE友いないの?
緑間:いない。
高尾:どうして?
緑間:必要ないからだ。
高尾:でも、オレはいるよね。真ちゃんとLINEで話せるのはオレだけの特権?(^^)v
緑間:そんなのを特権とは言わん。
高尾:三沢ちゃんなんか知ったら羨ましがると思うけどなー。真ちゃんのこと好きだって。
緑間:それは知らなかった。
高尾:三沢ちゃんにも教えとく?
緑間:いや……オレにはお前だけいればいい。
高尾:デレ来たーーーーーーー!!!!
緑間:…………うるさいのだよ。
高尾:もう一度言って、ね、もう一度。ログ取ってあるけどさ。
緑間:言えるか、バカ尾。
高尾:あっ、失敬な。クラス中に言ってやるもんね。バスケ部でも。
緑間:オレは別段構わない。
高尾:あっそ。まぁ、オレも本当は教える気ないんだけどさ。他の誰にも。
緑間:だったら言うな。
高尾:うん、そうだね、ごめんごめん☆
緑間:顔が見えないというのは不便だな。
高尾:じゃ、スカイプに切り替える?
緑間:いや、このままでいい。
高尾:顔が見えないから言えることってあるもんね。……ねぇ、真ちゃん、愛してる。
緑間:~~~~! いくら顔が見えないからって、恥ずかし過ぎなのだよ!
高尾:わー、真ちゃんが焦ってるwwwwブッフォwwww
緑間:わかったから草生やすんじゃない!
高尾:草が何のことかわかるだけで進歩じゃーん? 真ちゃん。
緑間:オレも人並みにネットはやってるのだよ。
高尾:なんだ。相手はオレだけかと思ったら。
緑間:いわゆるネットサーフィンなのだよ。それから通販でラッキーアイテムを揃えたり。
高尾:狸の信楽焼も通販で買ったの?wwwwww
緑間:いや、近くの骨董品屋で見かけたのだよ。
高尾:ブッフォwwwwwどんな骨董品屋だよそれwwwww
緑間:近くの骨董品屋なのだよ。品揃えがいいのでお気に入りなのだよ。
高尾:いや、そんなこと訊いてねぇしwwwww真ちゃんマジウケる~wwwwwwでも、そんな真ちゃんがだ・い・す・きvだぜ!
緑間:あんまり顔見えないからって調子乗って恥ずかしいこと言うと、明日学校で顔を見れなくなるぞ。
高尾:ええ~? オレはいつもこんな感じじゃん? 真ちゃんの方が恥ずかしいんじゃない?
緑間:……そうかもな。
高尾:真ちゃんも言えって。高尾ちゃん愛してるって。
緑間:言えるか、そんなこと。
高尾:この前言ったくせにぃwwwwwwこの真ちゃん専用LINEのことがバレたら、オレ真ちゃんのファンに殺されるかもなwwwww
緑間:……草の生やし方が間違っているような気がするのだよ。
高尾:ツッコむとこそこ?! ……だってさ、真ちゃんのセリフっていちいちツボに入って来るんだもんwwwwwww
緑間:オレはそんなに変か?
高尾:変!
緑間:…………。
高尾:でも、そんなところも気に入ってんだぜ。しかも努力家だしさぁ。
緑間:一応認めてもらってると捉えていいのか?
高尾:うんうん。それに、やっぱりそんな真ちゃんが大好きだしさぁ。
緑間:オレは愛想のいい方ではない。
高尾:うん、知ってる。クラスメートだもん。
緑間:そんなオレでもいいと言うのか。
高尾:決まってるじゃん。あいらびゅー。
緑間:今度は草生やさないんだな。
高尾:うん。マジだからね。
緑間:本気と冗談の区別がつかないのだよ。お前の場合。
高尾:それを言ったら真ちゃんもじゃん。
緑間:オレはいつでも本気だ。
高尾:本気一直線?! 超ウケるwwwwwwwwお前の行動、全部本気なんだ! マジでwwwwwwww
緑間:なんか失礼なことを言われてる気がするのだよ……。
高尾:それはお互い様だって。真ちゃん。ま、真ちゃんは天然ツンデレだから許せるけどさぁ。
緑間:タコ
高尾:え? いきなり何?
緑間:間違えたのだよ。高尾、と打とうとして変換ミスしたのだよ。
高尾:なぁんだ。変換ミスか。
緑間:その通りなのだよ。タコ。
高尾:今のも変換ミス~?
緑間:そうだ。
高尾:本当?
緑間:信じろ。
高尾:うん、わかった。
緑間:ふっ、単純なヤツめ。
高尾:うわぁ、ツン来たぁ! けれど、真ちゃんのツンも大好きだぜ。ていうか、オレ、真ちゃんのやることなすこと何だっていいんだよなぁ……。
緑間:じゃあ、明日はお前だけ練習三倍にするよう大坪さんに伝えておこう。我儘三回分使ってな。
高尾:ええ~。そりゃご無体な! そんなことしないで、ね、ね。
緑間:お前はオレの相棒だろう? オレとて日々進歩している。お前もそれに見合った努力をしろ。
高尾:うわぁ……マジ唯我独尊だよ。……わかったよ。
緑間:やけに素直だな。
高尾:だって、そうしないと真ちゃんの相棒なんてやっていけないしぃ。こう見えても、高尾ちゃんはいろいろ考えているのであります。
緑間:わかってるじゃないか。オレはお前のそういうところは嫌いではないのだよ。
高尾:……素直に大好きって言えよwwwww
緑間:……大好きだ。高尾。
高尾:……ほんとに言うとは思わなかった……。
緑間:どん引きするな。オレだって恥ずかしいのだよ……もう寝る!
高尾:そうだね。明日は早いからこの辺で切り上げないとね。本当はもっと話してたいけど。
緑間:明日があるだろ。
高尾:あし~たがあ~る~さ~。じゃ、おやすみ、真ちゃん。いい夢見ようね。
緑間:ああ。

 ――と、オレ達はこんなやり取りを毎晩交わすのだ。他愛ないけど、これがオレの日々の活力源だったりするのだよ(真ちゃんの口調がうつった)。

後書き
LINEをよく知らない頃書いた作品。この二人はスタンプ使っているのだろうか……。
2014.7.27

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