猫獣人たかお番外編 1

※18禁です。

「にゃあ……」
「どうした? かずなり」
 オレはたかおかずなり。緑間真太郎――真ちゃんの家で飼われている猫である。
 いや、猫であったのはもうずっと前のことで、今は神様に猫獣人にしてもらって、真ちゃんと一緒に暮らしている。
「体が……熱い……」
 今、体が火照っている。風邪をひいてるわけじゃない。けれど、何か変な感じ。
「……オレ、病気なの?」
「かずなり?」
 真ちゃんの端正な顔が心配そうに歪む。てっちゃん達は知っているだろうか。真ちゃんがこんな顔をすることがあるっていうの――。真ちゃんが、本当は優しいっていうの。
「何か……甘酸っぱいものが込み上げてくるの?」
「吐き気か?」
 オレは黙ってふるふると首を横に振った。
 あー、もう近づかないで、真ちゃん! 心臓爆発しそうだよ!
「ここが……変なの」
 オレは、今まで掛けていた毛布を剥いだ。
「これは……」
 真ちゃんが息を飲んだ。そんなに危険な状態なのかなぁ。
 気持ちいいけど、死にそうだよ!
「ここが、腫れて……おさまんないの」
 オレは自分の中心を指さした。前にもこんなことがなかったわけじゃない。でも、ほっといたら元に戻った。
 でも、今回は――落ち着かないよぉ!
「かずなり、これは病気ではない。きっと発情期なのだよ」
「――発情期?」
「ああ。黒子からも聞いたが、獣人には稀にあることなのだそうだ。火神もそうなるのかと訊いたら、『ノーコメントです』とぬかしてやがったが……」
「にゃあ?」
「ああ、それは今は関係なかったな。とにかく、病気ではないのだから、安心していいのだよ」
 発情期――確か、子作りの為に交尾したくなる時期のことではなかったかな。長老から教えてもらったから知識としては知っていたけど、自分がそうなったのは初めてで――。
「にゃあ、真ちゃん……」
「そんな甘ったるい声を出すな。……どうしたらいいかな」
「にゃあ……」
「辛そうだな。取り合えず抜いてやる」
「え? 抜くって――?」
「かずなり、下着おろすぞ。いいか?」
「うん」
 オレのパンツから、屹立したものがぷるんと現れた。その中から涙が溢れ出る。
「かずなり、これが何だかわかるか?」
「え……?」
「これが人間の生殖器なのだよ」
 へぇ……これがそうだったのか。話には聞いてたけど、やっぱりそうだったんだ。猫のと全然違うんだ……。真ちゃんの指が絡む。排出感が刺激されてたまんない。
「真ちゃん、真ちゃん……」
 なんか、おかしくなっちゃうよぉ! こんなの初めてだよぉ!
「あ、あ……!」
 快楽が頂点に達した時、耳と尻尾が痙攣した。オレは呻いて白濁した液を出してしまった。
 しまった! おもらしした! 怒られる!
 今はやんないけど、前におもらしして家から追い出されたことがあったんだっけ。その家は真ちゃんの家じゃなかったし、ずっと昔、子猫の時だったけれど。
 そしてオレはまた野良になった。仲間達もいたし、みんなオレのことを歓迎してくれた。
 あの生活に戻りたくない訳じゃないけど、今は真ちゃんと一緒にいたい。
 今出したのは、おしっこじゃないみたいだけど……。こんな変なの出して、真ちゃん、オレのこと捨てない?
 気持ちよさと心配がぐちゃぐちゃになって、オレは泣いた。
「真ちゃん……」
「かずなり……あまり泣くな」
「真ちゃんはオレのこと捨てない?」
「当たり前なのだよ。ほら、抜いてやったから気持ちいいだろ?」
「うん……オレ、真ちゃんにお礼したい」
「お礼?」
「うん……オレを好きにしていいよ……」
「そんな顔でそんなことを言われると――オレも我慢ができないのだよ。いいのか、本当に」
「うん」
「わかった。ちょっと待ってろ」
 真ちゃんは服と下穿きを取って生まれたままの姿になった。真ちゃんの生殖器というものが露わになる。オレと違うのは、真ちゃんの方がオレのより一回り大きいということだけで――。オレは照れくさくなって目を逸らした。
「かずなり。お前の中に挿入したいのだよ いいか?」
 オレは、ちょっと恐慌を来たしながら、うんうん頷いていた。オレはオスだ。オレの中に挿入したいというのは、お尻の穴を使うってことで……。あんなの入るだろうか。でも、今更引く訳にはいかない。猫の世界でも、男に二言はない……はず。
 でも――あ、そうだ。舐めてあげればいいんだ。
「真ちゃん……オレ、それ舐めてあげる」
「いや、それには及ばん……いや、それも十分魅力的なのだが……」
 真ちゃんは、やっぱりオレのお尻の穴に入れたいみたいだ。テーピングを外した真ちゃんの左手の指がオレの出した変な液に絡まる。それをお尻の穴にぐっと入れる。真ちゃんの整えられた爪と綺麗な指が、オレの汚いところに入ってる……。
「真ちゃん……ダメ……汚い……」
「お前の体で汚いところなど一つもないのだよ。それに、猫の頃はお前もそこを舐めていたのだよ」
「……でも、獣人になったら、自分で舐めて綺麗にできないから……」
 真ちゃんは聞いているのかいないのか、オレのお尻の穴に入れた指を動かしてほぐす。二本か三本ぐらいは入っているかな。オレは、痛いような、なんかウンチがしたいような変な感覚に捉えられた。
「真ちゃん、ウンチしたい……」
「そうか……お前は経験がないからな……それはオレもだが……もうすぐ良くなるはずだ。待ってろ」
 真ちゃんの指があるポイントをかすめると、快感が体を駆け巡る。
「にゃっ!」
「ここか……ここだな」
 真ちゃんはそこばかり攻める。オレの生殖器はまた頭を擡げてきた。
「あ……また、出ちゃう」
「我慢するな……溜めると体に悪いのだよ」
 オレはまた白い液を出してしまった。
「ここ、おしっこするところだよね」
 オレは、元のサイズに戻った自分の中心を差し示した。
「そうだが?」
「何でこんな変な液が出るの?」
「変な液ではない。精液と言うのだよ。それが出ないと子供が作れないのだよ」
「子供……」
 オレも子供が好きだ。子供は欲しい。
「真ちゃん……オレ、真ちゃんとの子供が欲しい」
 オレがそう言うと、真ちゃんは苦笑した。
「それはムリなのだよ。オレもお前も男だからな」
「うん。わかってる……」
 わかってはいるけど、つい望んじゃうんだよね。てっちゃんに似た神様、また現れないかな。オレと真ちゃんの子供、授けてくれないかな。
「もういいかな」
 充分お尻の穴をほぐした後、真ちゃんのそれが入ってきた。痛い――でも、我慢しなきゃ。だけど、大粒の涙が出るのは抑えきれない。
「にゃっ……真ちゃん、真ちゃん……!」
 真ちゃんの先端が快楽のポイントを突く。何度も、何度も――。オレは、だんだん痛気持ちよくなってきた。真ちゃんの顔が間近で見られる。オレの目に映る自分の涙でぼやけた真ちゃんの顔は、それでも綺麗だった……。
「くっ……最高なのだよ。かずなり……!」
 オレはつい真ちゃんのを締め付けてしまった。数えきれないくらいたくさん貫かれた後、大きくなった真ちゃんのからだから、何か熱いものが出てオレの中を満たした。ついでにオレも――。
「真ちゃん……」
 真ちゃんが大きく息を吐いた。
「はぁっ、かずなり……良かったのだよ……」
「ほんと? 満足?」
「いや……まだ体がお前を求めている。嫌か?」
「ううん、ううん」
 オレは真ちゃんの首にかじりついた。
「お前は、平気か?」
「うん……何か変な感じだけど……すっきりした。またしたい」
「……かずなり」
 真ちゃんが怖い顔になった。
「お前は性奴隷にぴったりなのだが、オレはそんなことはしたくない。一生大事にするのだよ。――だから、お前も他の奴らには操を捧げるな」
「にゃっ! わかった! 真ちゃん……」
「それから、これは杞憂に終わるといいんだが……」
「にゃに?」
「悪い人間にさらわれないに気をつけるのだよ、お前は、か、か――」
 可愛いのだから。
 真っ赤になった真ちゃんにそう言われた時、オレは一生真ちゃんの番いの相手でいよう、と決心した。でも、他の人間にさらわれるなんて杞憂だよ、真ちゃん。真ちゃんこそ、可愛いのにね。
「そうだ……キスがまだだったのだよ。――夢中だから気が付かなかった」
 オレの唇は真ちゃんのキスの巡礼を受けた。

後書き
猫獣人番外編。18禁です。
本編とはちょっと違ったところもあるかな。
たかおと真ちゃん、ラブラブです。でも、また少し直すことがあるかも。
2017.3.12

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