グレッグとフリス
グレッグ「あら、久しぶりね。フリス」
フリス「よぉ、グレッグ」
グレッグ「アンタ、この頃幸せそうね」
フリス「いろいろ大変だけどな。まぁぼちぼちやってるよ」
グレッグ「新しい恋人って、ソア・レインでしょ? いい男ね。身体障害者だけど」
フリス「ああ。でも、いい男だよ。辛さを人には見せようとしない……俺は見ちまったけどな。目が見えないって、辛いことなんだろうな。うっかり同情しそうになったら、フロイドさんに『実際目が見えなくなったら、辛いだのなんだの言ってられねぇんだ』と諭されたよ」
グレッグ「フロイドさんもいい男よねぇ。ああ、あの人がゲイだったらねぇ」
フリス「そいつはちょっとムリな注文ってもんじゃねぇかな」
グレッグ「アンタがサドの男とつき合っていると知った時は心配したんだけど、もう大丈夫よね」
フリス「ああ。ジェームスのおかげでな。アンタにも心配かけたな」
グレッグ「ジェームスがホモだったらよかったのに」
フリス「そしたら、俺、誰にも渡しゃしないさ。アンディにもな」
グレッグ「アンディもストレートなんでしょ? 良かったわ」
フリス「何が良かったんだよ」
グレッグ「だって、ジェームスとアンディ、二人してゲイだったら悔しさで身が焦がれるわよ」
フリス「あいつらはストレートだぜ。ジェームスは俺を抱けないって言ったしな」
グレッグ「まぁ、アンタでもふられたの。そぉお」
フリス「なんか嬉しそうだな」
グレッグ「アンタにもジェームス取られたくないんですもの」
フリス「いやぁ、あいつにも新しい恋人ができたって噂があるからな」
グレッグ「え?! 相手はどんな女?」
フリス「ちらっと見たけど、可愛かったな。カーターの妹だってよ」
グレッグ「んまぁ、カーターさんの。ジェームスってば、あのテの顔の人、好きなのかしら」
フリス「かもな」
グレッグ「ほんとにあの人、ストレートなのかしら」
フリス「ああ。間違いない」
グレッグ「アンディも美人だったしねぇ。ああ、同じ黒人なのに、どうしてこうも違うのかしら」
フリス「アンタも美人だよ。グレッグ」
グレッグ「まぁ! アタシのことブスだって言ったのはどこの誰よ!」
フリス「あん時は……悪かった。アンタはいい女だよ。グレッグ。早く恋人が見つかるといいな」
グレッグ「……ふふっ、自分が幸せになったから、余裕が出て来たのね」
フリス「それだけじゃないけどさ。みんなアンタの魅力に気付かなさすぎるんだよ」
グレッグ「ありがとう。アンタいいヤツね。グレッグ」
フリス「どういたしまして」
グレッグ「いつまでもレックスを失った痛手を抱えていても仕様がないわね。新しい出会い探さなきゃ」
フリス「レックスといやぁ、ティナはどうしてる?」
グレッグ「元気よ。時々会いに行ってるわ」
フリス「ジェームスもか?」
グレッグ「ええ。ジェームスが来ると喜ぶみたい」
フリス「父親が死んだのは残念だけど、良かったな……ティナも、ジェームスも。ジェームスは可愛い女の子が好きだから、仲良くやれて満足だろう」
グレッグ「ええ、そうね」
フリス「まぁ、レックスは気の毒だったけどな」
グレッグ「それはまぁ……でも、アタシ達ホモだもの。いろいろあるのは当たり前よ。性根座って来ちゃったわ」
フリス「そいつはいい! アンタも逞しくなったわ」
グレッグ「アンタも逞しいもの。以前、アンタを好きになりそうだって言ったけど、ますます好きになったわ」
フリス「でも、俺は抱かれる方専門だからな」
グレッグ「わかってるわよ。いいお友達でいましょうね」
フリス「あ、ジェームスだ。おーい」
グレッグ「それじゃ、アタシもう行くわね」
フリス「何だ。もうお別れか」
グレッグ「アタシにも用があるのよ。それにね……脈がありそうな人見つけたの」
フリス「ホントか?! そいつはすごい!」
グレッグ「だから、ここでさよならね」
フリス「ああ。上手く行くといいな。じゃあな」
グレッグ「またね」
2010.12.9