おっとこショートコント 〜古本編〜

秋野駿(以下駿):おーい、古本買って来たぞー。いろいろ面白いから、おまえらにも買ってきた。

佐藤哲郎(以下哲郎):なんだい?

駿:哲郎にはこれ。三浦哲郎の『忍ぶ川』だ。

哲郎:著者名で決めたんじゃない? ま、いいや。僕、『忍ぶ川』にも興味あったしね。

駿:それから、雄也とえみりにも買って来たぞ。

渡辺雄也(以下雄也):俺達はいいよ。

駿:なに遠慮してんだよ。これなら、おまえらも読めるだろ? 吉本ばななの『キッチン』だ。

雄也:俺、吉本興業の方が好きだけどな。

駿:この中にな、『雄一』と『えり子』って登場人物が出てくるんだけど……興味湧かない?

雄也:わかない。

えみり:私、読んでみたいかも。

雄也:えみりが読むなら、俺も読む。

駿:はいはい。ったく、雄也はえみりの言いなりだな。そうそう、みどり、いるか?

秋野みどり(以下みどり)何を?

駿:おまえにはDVDだ。ほれ。

みどり:『DEATH NOTE』? ノートに名前が書かれると死ぬっていう設定の、あれ?

駿:そう! この中に秋野詩織って子が出てくるんだけどさぁ……。

みどり:どうせ死ぬんでしょ?

駿:…………。

みどり:死ぬのね。

駿:……でも、これ、結構面白いから。

みどり:いらないわよ。

えみり:駿ちゃん、結構アバウトだからね。

雄也:(『キッチン』をぱらぱらとめくって)おー、えり子って、女装した父親なのか。

えみり:駿ちゃん……。

みどり:私、吉本隆明の本の方が興味あるな。

駿:なんだよ。あんまり皆嬉しそうじゃないな。

みどり:それは、兄貴のチョイスがわるいんじゃない? 著者名や登場人物の名前で決めたり。

駿:うーん、難しいもんだな。

後書き
林真理子『20代に読みたい名作』と映画『DEATH NOTE』前編を参考に書きました。
しかし、こんな話を書く私も、相当イージーだ。
単なる思いつきなので、オチはありません。

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