覆面対談

西澤明が他のイラストクラブの面々と話しています。ちょっと聞き耳を立ててみましょう…(覆面対談なので原則的に言っている人の名前は出ません)。

「いやぁ、ここっていいクラブだわ。堂々とマンガ持って来れるし」
「そのかわり金曜だけだけどね」
「みんなはどんなマンガが好き?」
「はいはい!タイバニ!兎虎!兎虎!」
「アンタ、そればっかりね。それにリアルタイムでは観れなかったでしょうが」
「おっさん受のどこに需要があるのかと思ってたんだけどねぇ……」
「アンタが好きなハーレムも充分おっさんじゃん」
「ハーレムは永遠の美中年!」
「加齢臭するけどね」
「認めないわ!私が好きなのは南国のハーレム隊長!ハーレムはやっぱり受よねぇ」
「そうかねぇ」
「両刀使いでもいいんだけど」
「私はやっぱりハレティラがいいな」
「何年前の話してんのよ、アンタら……おー、頭が痛くなってきた」
「ヒーロースーツを脱いだ虎徹さんてすごーく細いのよ。脚なんか長くってさあ……ナイスミドルって感じ」
「むりやり話をそっちに持って行ったわね」
「でさあ、バニーが逞しかったらもう最高!」
「バニーって美青年なんだよね」
「そうそう。24歳って言ってた」
「26じゃなかったっけ?」
「でも二十代でしょ?若い美青年がアラフォーのおじさんを襲う……」
「倒錯だ」
「え~、いいじゃん。年上受バンザイ!」
「アンタはそういうけどね、あたし達まだ小六よ。どっちにしろおじさんね。あたしはアベミハがいいなぁ」
「ああ、おお振りの」
「絶対デキてるよね、あの二人」
「さあ……私にはさっぱり」
「私は水谷くんがカワイイと思う。千代ちゃんと上手くいくといいね」
「そうだね~」
「小学生って不便だよね。同人誌ひとつ満足に買えやしない」
「特に18禁はね」
「だからお姉ちゃんに買ってもらったのでガマンする」
「でも、ジャンル違うとヒサンよね~」
「血の雨が降るよね~」
「あたしのお姉ちゃん、ずっと00やってるよ~。高河ゆんのキャラデザが好きなんだって」
「刹那ってカワイイよね」
「ガンダムシリーズは未だに1stが好きだっていう人いるよ」
「はい!はいはい!やっぱりエヴァよ、エヴァ」
「エヴァね~、観たいんだけどいつも見逃してしまうの。再放送もよ。だから映画観に行く気もならない」
「ビデオショップで借りれば?」
「あっ、そうなんだよね~!でも忘れちゃうんだよね」
「結局縁がないってことか」
「興味はあるのよ、ほんとよ」
「ま、ま、無理しなくったって」
「そうそう。優れたアニメはごまんとあるんだから」
「ヘタリアとかね」
「ヘタリア面白いよね。キタユメも観てる」
「あたしは断然原作派!ていうかあまりヘタリアアニメ観れないもんね」
「ケータイがないからなあ」
「私持ってる!」
「持ってない方が珍しいんじゃね?ケータイとスマホの二刀流」
「やだ。二刀流だなんて」
「これこれ、何を想像しておる。ヘタはやっぱり独伊よね」
「あたしは米英が好き」
「仏英も結構人気あったってよ」
「今は黒バス?マギ?」
「タイバニ人気もまだ根強いんだろうね」
「早く二期やればいいのに。でないと忘れ去られるよ」
「黒バスは可哀相だね」
「先生もファンもね」
「何よりも作品がね」
「脅迫事件で有名にはなったかもしれないけど、そんなことで有名になりたくないよね」
「私が黒バス知ったのは脅迫事件からだったんだけど」
「オタクやるのも大変だよね」
「というか、うちら腐女子じゃん」
「そうねぇ、まあねぇ」
「BL好きというか」
「あたしは結構健全好きだけど」
「そうだねぇ」
「アンタは雑食系だからね」
「あら、視野が広いと言ってよ」
「あ、マギ先週見忘れたんだ。ねぇ、誰か録ってる人見せてよ」
「すぐ話が飛ぶ~。いいよ。私毎週録ってるから見せたげる。つーか自分で録れよ」
「ビデオは我が家では妹が占領してるの」
「ブルーレイ録画ないの?」
「アンタのとこにだってないくせに」
「そうね。シン様が出てくればもうそれでいいや」
「アンタ、シン様好きね」
「かっこいいもん。シン様と目が合って喜んでたタレントさんもいたよ」
「マギ特集の時?確か一緒に動画で観たよね」
「ああん、あたしも混ぜて欲しかったよ~。でもあたしが今ハマっているのは銀魂だね」
「今更じゃない」
「わかってるけどぉ……」
「確かに銀さんかっこいいよね。筋が通っているというか」
「桂様美人よね」
「ああ、ヅラね」
「ヅラじゃないわ、桂よ」
「女装した時ハンパなく美人だったよね」
「あれはヤバかった!」
「あら、銀さんの方が綺麗だったわよ」
「ええー?!そうかなあ」
「見てないので何とも」
「話が何となくジャンプ系に流れたところで……『ワンピース』はどう?」
「おお~、最強だ」
「ナミさんカワイイよね」
「ルフィは?」
「ルフィは馬鹿だからイヤ」
「あら、あたしの王子様の悪口言わないでよ」
「この子ねぇ……ルフィのこと麦わらの王子様だと言ってんのよ」
「そう!ルフィと結婚したい!」
「意味はわからないけど『エンドルフィン効果』っていう言葉の中にも『ルフィ』って単語が隠れてるよね」
「へぇー、そうなんだあ」
「さっきの話で思ったんだけどさ……私達が大人になる頃には二次元のキャラと三次元の私達が自由に結婚できるようになるといいよね」
「えぇー、それはちょっと……」
「引くなあ」
「何よ、みんなして」
「あ、私は同意見よ」
「ありがとう」
「昔、力石徹の葬式した人達もいたじゃん」
「誰よ、力石徹って」
「ほれ、あしたのジョーの」
「幽白の話題がさっぱり出ないね」
「あたしの生まれるまえの作品だもん」
「あとセーラームーン」
「あ、セラムンだめ。クイン・ベリル可哀相」
「原作の話だね」
「タキシード仮面がかっこいいと思えない」
「いっそツメエリマンとかにすればいいのに」
「それじゃギャグだ」
「あたしドラゴンボール好きだなぁ」
「ドラゴンボールって敵と戦っててもどっか牧歌的だよねぇ」
「だから好きなのよ」
「でもさ、好きなアニメとかマンガの話してたらきりなくない?」
「そうだねぇ」
「最近読んだ中ではきん注が面白かった!」
「きん注?」
「きんぎょ注意報だよ。アニメ、兄貴が観てたの私も見てて、んで原作も読んでみたの。わぴこすっごいかわいかった!ちーちゃんも美人だし」
「初期の頃はね」
「知り合いにきん注からマンガ描きはじめたっていう人いたよ。今どうしてんのかなあ」
「知り合い?」
「ネットで知り合ったんだけどさあ」
「ネットって便利だよね。私、英語習ったら外国の人とも友達になりたい」
「『今日からお前も友達だ』って?」
「そうそう。そんな感じ」
「パプワの受け売りだけどね」
「私は……夏目がいい……」
「夏目って夏目漱石?」
「わかりやすいボケかますのやめてよ。夏目友人帳でしょ?」
「うん……」
「泣けるよね、あれ」
「夏目がすごいいじらしいの。で、涙が目の奥からじわーっと……。彼氏にするなら夏目みたいな人がいいな」
「あたしはレイコおばあさんが好き」
「しっかしあたし達って見事に偏ってない?」
「アニメ化して欲しい作品は?」
「はいはい!パーム!パームシリーズ!」
「パームはむりっしょ」
「話はあったみたいだけどね」
「パームはあたしにはちょっと難しかったな」
「えええ?そうお?」
「でもパームは名作だよね」
「もっと広めたいよね」
「あたしはいいや」
「好き嫌い分かれるよね。絵柄とか。私はすっごい好き!……なんだけど」
「パームは文字ばっかだからなぁ……」
「文字ばっか、で思い出したけど、『美味しんぼ』はどう?」
「最近つまんなくなった」
「昔の話の方が面白いよね」
「やっぱ長期連載って難しいよね」
「作者のモチベーションも関わってくるしね」
「でも漫画家なら一度はやってみたいのかなあ、長期連載」
「失敗作も多いけどね」
「あ、アンタ、次の作品どうする?」
「まだ決めてないけどねぇ……今のが終わってから」
「キャラは一応成仏させた方がいいみたいね」
「それかずっと描き続けるか」
「けど、ダラダラ続けてもいいものかどうか」
「作品にも最盛期ってあるよね」
「せっかく最後、綺麗に終わったのに、続き描く人いるよね」
「もういいよ、って感じ」
「なまじ描けるだけにこわい」
キーンコーンカーンコーン。
「あ、もう時間だ」
「じゃ、またね」
「一緒に帰らない?」
「そうだね。じゃ、ちょっと仕度してくる」

※この話の中に出て来る作品は全て実在のものですが、この対談はフィクションです。

2013.1.28

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