Sweet kiss 2

 先週、三橋にキスされた。それ以来、何も手につかない。

 あの柔らかい感触……もう一度触れたい……ああ、思い出しただけで体が熱くなってきた。

「阿部くん、聞いてる?」
 三橋が首を傾げる。その仕草がまた可愛い……。
「わ、悪い、ぼーっとしてた。」
 つうか、お前の唇に見惚れてた……。
「あ、阿部くん……あの……。」
「どうした?」
「す、数学……め、迷惑かな……。」
 数学?教えてほしいのか?ということは!
「お前の部屋に入っていいのか!?」
「え、い、いいけど……。」
 しまった。思わず掴みかかっちまった。でも、部屋に上がっていいって事は……。
「あ、阿部くん……顔赤いよ。」
「だ、大丈夫だ。じゃあ、部活が終わったら、お前の家な。」
「うん。」
 三橋は嬉しそうに着替え始めた。

 三橋の家が近づくにつれて鼓動が早くなる。いくらなんでも今日はいきなり三橋が寝入っちまうって事はないだろう。
 先週のキスみたいに一瞬じゃなく、もっと、もっと……。

「お邪魔します。」
「だ、大丈夫だよ。今日はうちの親遅いから。」
 って事は二人きり!?それって……それって……。
「阿部くん……顔真っ赤だよ。」
 三橋が心配そうに覗き込んでくる。
「大丈夫だ。心配するな。」
 オレは無意識に三橋の腕を掴んでいた。
 三橋の部屋は前回来たから覚えてる。オレは三橋の腕を掴んだまま部屋に入り、三橋をベッドに座らせた。
 ああ、ムードも何もあったもんじゃねぇ……。汗まで出て来た。
「三橋……あの……。」
 声が震える。
「な、何?阿部くん?」
 三橋が不安げに見上げてくる。
「キ、キスしていいか?」
「え?」
 オレに返事を待つ余裕はなかった。
 そっと唇を重ねる。柔らかい……。もっと味わいたくて、三橋の唇に舌を這わせた。三橋がぎゅっとしがみついてくる。
 何度か触れてから唇を離した。
「みはし……。」
 かすれた声で呼ぶと三橋が不安げに見上げてくる。体が熱い……。
 もう一度キスしようとして顔を寄せた時、体が崩れ落ちた。力が入らない……。

「阿部くん!すごい熱だよ!寝てて!!オレ、氷枕取ってくる!」
 遠のく意識の中で、三橋がパタパタ走っていく音が聞こえた。

Tomokoのコメント
山之辺黄菜里さんからの頂きもの小説、『Sweet kiss 2』です。
今回も三橋を襲えなかった阿部……せっかくのチャンスだったのにねぇ。
しかし、これを読んで、私はずーっとにまにましていました。
うーん、三橋にかいがいしく看病されて、これはこれでもうけもの??
三橋とのキスシーンに、またにまにま。
黄菜里さん、続きを楽しみにしております!

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