Sweet Kiss 6

 三橋とファミレスに入った時、隣のテーブルの会話が聞こえてきた。
「旦那さんとはうまくいってる?」
「いってるよ。でもなあ……。」
「でも?」
「一度気持ちよくなってみたいなあ……。」
 ぶっ!! 三橋の顔にコーヒーを吹き付けるところだった。そして嫌なことを想像した。

田島「三橋、阿部とはうまくいってる?」
三橋「いってる、よ。でも、なあ……。」
田島「でも?」
三橋「一度、気持ちよくなってみたい、なあ……。」

 もし、三橋にこんなこと言われたら、俺、立ち直れないかも……。
 それでも、俺は三橋を抱きたい!三橋だって、嫌じゃないはずだ。

 いつものように宿題を片付けた後、俺は切り出した。
「三橋……、抱きたいんだ。」
「え……。」
 今までは勢いに任せすぎてた気がする。ちゃんと三橋の気持ちを確かめて先に進もう。
「抱きたいんだ。嫌か?」
 三橋はぽっと赤くなった。
「い、いいよ。阿部君。」
 俺はゆっくりと三橋をベッドに押し倒した。
「き、キスして、いいか?」
「うん。」
 三橋が目を閉じるのを合図に唇を重ねる。柔らかい感触にドキドキする。そっと舌を差し入れると、三橋がビクッと反応した。
「他のところもキスしていいか?」
三橋がうなずく。喉に唇を当てると、
「あ!」
と小さな声が上がる。気持ちいいと思ってくれてるんだろうか?
「三橋、脱がしてもいい?」
「いい、よ。」
 一つ一つ胸のボタンを外していく。早く白い肌が見たいと思うのに、手が震えてなかなか外せない。
 シャツをはだけさせ、胸元をあらわにする。滑らかな肌に思わず唾を飲んだ。
 前回はどうしたんだっけ?あの時は無我夢中だったから、記憶が定かじゃない。
 勝手が分からないまま、鎖骨に口づけてみた。
「ふ。」
 三橋が小さな声を上げて口元を押さえる。
「三橋、声、聞かせてくれよ。」
 声出した方が気持ちいいと聞いたのは、何の番組だったろう?
 白い胸元に舌を這わせる。
「ん、ん。」
 まだ恥ずかしいのか、なかなか声を上げてはくれない。
 乳首に触れると、はっと息を飲んで三橋が仰け反った。感じてくれてはいる?
 乳首を指で擦りながら、もう一方に舌を這わせてみる。
「あ!あ!」
 三橋が甲高い声を上げる。感じてくれてる!なんだか泣きそうだ。
胸元に口づけながら、そっと下半身に手を伸ばす。そこはしっかり反応を示していた。
 その時、俺は重大なことに気がついた……。
「……。」
「あ、阿部、くん?」
 急に動きを止めた俺に三橋が問いかける。
「……。」
「あの、阿部くん?どうしたの?」
「……き、緊張しすぎて……勃たねえ……。」
 その途端、三橋が泣き出した!
「やっぱり、俺なんかが相手じゃ……!」
「ち、違うんだ!三橋!」
「だって、あ、阿部くん……。」
「お前は魅力的だよ!だけど……。」
 しゃくり上げ始めた三橋にもう何がなんだか……。

Tomokoのコメント
山之辺黄菜里さんからいただいた小説、Sweet Kiss 6です。
とうとうコトに及ぶと思いきや……!
緊張している阿部が可愛いです。
男って、相手が好き過ぎるとかえって勃たなくなるそうですね。
三橋、君が悪いわけじゃないから大丈夫だよ。きっと魅力的過ぎるんですよ(笑)。
阿部と三橋はいつ結ばれるのでしょうか……楽しみです。今後の展開はどうなるのでしょうか。
面白いと思うから載せました。
黄菜里さん、ありがとうございます。
2009.10.10


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