白い狂気 ~おお振りパラレル小説~

 オレのお父さんはすごく人望のある人らしい。子供の頃、オレが誰かに誉められると、お母さんは必ず「それはお父さんがその人に親切にしてるからよ。」と言った。
 オレはかわいい子でも、頑張り屋でもなくて。ただ、親切な人の子供ってだけなんだ。

 阿部くんがオレを好きだと言う。お前のコントロールは凄いと言う。お前は頑張ってると言う。 阿部くんはお父さんと関係ないよね。なのにどうして誉めてくれるの?

 そうだ。今、投手はオレだけなんだ。唯一の投手が抜けたら困るよね。オレなんかが入部してごめんなさい。

 花井くんや沖くんが投げられるようになったら、そしたら、阿部くんは、花井くんか沖くんとバッテリー組むんだよね。そしたら、無理してオレを誉めなくていいんだ。


 ヤだな……

 オレ……阿部くんが他の人の球受けるの……ヤだな……

 そういえば、もうすぐ誕生日だっけ。
 欲しいもの聞かれてたんだ。

 オレ……オレの欲しいもの……

 オレ……

 オレ……


 阿部くんの……首が欲しい……

 それで……血だまりの中で一緒に眠りたい……

 永遠に……

Tomokoのコメント
山之辺黄菜里さんからの頂きもの小説、第三弾!
三橋のちょっとブラックな面が垣間見えます。
元になった歌は、Coccoの『白い狂気』だそうで。
この独占欲! これも愛の形でしょうか。
「綺麗だけども怖いですね」と黄菜里さんに言いました。でも、嫌いじゃないです。こういう世界。
三橋くんにも、こういう面があるんだと思って、うろこが落ちた思いです。
これってミハベでしょうか。(アベ←ミハ)なんですかねぇ。
両親に、誕生日に欲しいものは?と訊かれて、「阿部くんの首」と三橋が答えたら、親御さんびっくりするでしょうねぇ……とそれじゃギャグですね。せっかくの世界観を壊してすみません。
黄菜里さん、ありがとうございます。

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