Sweet kiss 4

 阿部君の目つきが最近変だ。なんだかギラギラしてるというか……。
 前はもっと優しい目で見ててくれた気がするんだけど……。
 でも、嫌ってわけじゃないんだ。なんていうか……。なんだか、体が疼いてくるような……。


 三橋がうつむいている。耳が真っ赤だ。
「どうした?」
 声をかけてもうつむいたままだ。
「あ、阿部君……。」
 ようやっと三橋が顔を上げた。目は涙で潤んでいる。
「あ、阿部君……。」
「何?」
「オ、オレを……もらって!」
 三橋はそう叫ぶなり不器用な手つきで胸のボタンを外し始めた。露わになっていく肌から目が離せない。

 ここで、目が醒めた。


 たまたま二人きりになった部活後の部室。オレはたまりかねて三橋を抱きしめた。
「三橋……もう我慢できねえ……。」
「あ、阿部君?どうしたの?具合でも悪いの?」
 オレは無言で三橋に口づけた。三橋は驚いて身を捩るが、逃がさない。
 ゆっくりと唇に舌を這わせる。唇がほどけてきたのを逃さずに舌を差し入れる。そっと歯列を辿り、舌に触れると、三橋の体がビクッとふるえた。三橋が可愛くてどうにかなりそうだ。
 存分に味わった後、手を離すと三橋は床にへたり込んだ。見上げる目が潤んでいる。
「三橋、今日は、いいよな。」
「なに、が?」
 オレは答えずに三橋を押し倒した。ゆっくり、ゆっくり、頬をなで、胸に手を這わせる。
「あ、阿部君?」
「ん?」
「オ、オレの胸、なでて、た、楽しい?」
「当たり前だろ。」
 お前の体なんだ。どこ触ったって楽しいに決まってる。
 胸のボタンに指をかけて一つ一つ外していくと、日焼けした首と対照的に白い胸が露わになる。
「きれいな肌だな。」
と耳元で囁いてやれば、
「は、恥ずかしい、よ。」
 赤い顔で視線をそらせる。その顔がオレを煽るとわかってるんだろうか?
 手で触るだけじゃ足りねえ……。首筋に吸い付くと、三橋が甘い声を上げた。
「アッ!」
 甘い……甘い声……。初めて聞いた三橋の嬌声……。
 三橋が慌てて自分の口元を抑える。
「抑えるなよ。もっと聞きてぇ。」
「な、なに?い、今の……。」
「なにって、感じたんだろ?」
「か、感じる……って?」
 三橋は本気で分からない様子で首を傾げた。
「感じるって……だから……。あ、あのな、お前……AVくらい見てるよな。」
「み、見るけど……。で……でもオレ……男だよ!」
「いや……そういう問題じゃなくて……。」
「えっ!?えー!?」
 パニクる三橋をなだめているうちに、オレのほうは完全に醒めていた。
 時計は午後10時を回っている。もう帰らないと明日の朝練で体がもたねえ。

 三橋の家の近くまで送ると、やっと三橋が真っ赤な顔を上げた。
「あ、あのね……い、嫌じゃ、なかったよ……。き……気持ち良かった……。」
「!!」
 今夜は絶対眠れねえ……。

Tomokoのコメント
山之辺黄菜里さんの頂き物小説、『Sweet kiss』第四弾です。
今回も、最後まで行きませんでしたね。
阿部は欲求不満で悶々としているだろうということで、黄菜里さんと意見が一致しました。
戸惑っている三橋が可愛いです。それにしても、AV見るんですねぇ。男の子ですねぇ。
黄菜里さん、ありがとうございます。

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