約束の対決

「レイジ……」
 セイはよく来ていた公園に一人佇んでいた。
 レイジはこの世界にはもういない。彼の生まれ故郷、異世界アリアンへ帰ったのだ。
 でも、約束した。レイジはここへ帰って来て、自分とガンプラバトルすることを……。
「よっ、セイ」
 聞き慣れた声。まさか――。
 後ろを振り向くとレイジが立っていた。
「レイジ!」
「へへーん」
 レイジが得意そうにガンプラを取り出した。
「あっ、それ!」
「故郷へ帰ってからも、改良したオレの自慢のガンプラだぜ! なぁ、セイ。ガンプラバトルやろう。約束だったろ?」
「うん!」
 セイも肌身離さず持っていたビルドストライクガンダムコスモスを取り出した。

 バトルが始まった。ステージは宇宙。
 まずはビーム砲でお互いの様子を探り合う。
「へっ。操縦上手くなったじゃねぇか! セイ!」
「レイジだって!」
 レイジの攻撃をかわす。ビームを吸収して放出する。レイジは難なく避けた。
「……やっぱりレイジには簡単に通用しないか」
 それに、直に覇を競ってみたい。セイはレイジの機体の懐に飛び込む。
「うおりゃあああ!」
「おおおおおおお!」
 キックやパンチの応酬。二人はビームサーベルを取り出して争った。
 螺旋状にたなびく金色のプラフスキー粒子。
 まるで洗練された舞いのようだった。
 このまま、勝負は永遠に続くかと思われた。
 二人とも、それでもいいと思った。
 地球から太陽の光が現れる。決着の合図だ。
 レイジとセイは一旦お互いの間合いから離れた。
「うおおおおおお!」
「はああああああ!」
 二人は一直線に飛び込む。
 カッ!
 彼らの機体が光った。
 バラバラになった機体の欠片と、プラフスキー粒子が煌めいた。
『バトル エンデッド』
 特徴のある声がして、二人は宇宙から現実世界へと戻った。
 二人のガンプラはすっかり壊れていた。
「勝負は引き分けだな」
「うん! すっごく楽しかった!」
 二人はまだ興奮してはしゃいでいる。レイジが言った。
「オレ、しばらくここにいるよ。またガンプラバトルやろうな!」
「うん!」
 強くなりたい――セイは拳を握りしめた。
「ラルさんも、場所を貸してくださってありがとうございます!」
「いやいや。なになに。私も見ていて楽しかったよ」
 そして、ラルさんは二人の健闘を称えた。
「レイジ君もセイ君ももっと強くなる。磨きをかけることだな」
「はい!」
 レイジとセイはラルさんに向かって敬礼した。ラルさんもそれに応えた。

後書き
ガンダムビルドファイターズ、最終回記念SSです。
どの回だったか忘れましたが、螺旋状に敵とぶつかり合うシーンがありましたので、使わせていただきました。
日の出はイメージです。
固有名詞がわからなかたので、wikiを参照にしました。
どこか変なところがあったら教えてくださいね。
スタッフさん、お疲れ様です! 毎週ネット配信のアニメを楽しみにしていました! それから風魔の杏里さん、楽しいアニメを紹介してくださってどうもありがとうございます!
2014.4.6

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