それは天国の香り
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アポロンメディア内の廊下で、バーナビーはコーヒーを片手に仕事部屋に戻ろうとしといた。その時、虎徹と鉢合わせした。せっかくなので一緒に並んで歩いた。
「あ」
バーナビーと虎徹が互いに声を上げた。
「香水変えた?バニーちゃん」
「貴方こそ」
虎徹はスパイシーな香りで、思わずバーナビーは欲情しそうになった。
「いやあ、ロイズさんから有名香水会社とタイアップしたからこの香水つけろと言われたんだ。バニーちゃんも?」
「僕もです」
「でも、こんなのヒーローとしての仕事に役に立つかなぁ……」
その台詞はバーナビーの耳には入っていなかった。つい虎徹を押し倒しそうになる衝動を我慢する。
人の気も知らないで虎徹はバーナビーに近付いた。至近距離で鼻をうごめかす虎徹にバーナビーの心臓の動きが激しくなる。そんなことを顔に出すバーナビーではないが。
「ふぅん、バニーちゃんは蜜柑の香りか」
「柑橘系です」
バーナビーはむきになって訂正した。
彼が歩き出すと、虎徹もついてくる。
「なあ、今日もバニーちゃんの家に行ってもいい?」
それは、性交してもいいかという遠回しの誘いだった。バーナビーも虎徹を抱きたかった。
「いいですよ。今夜」
顔がにやけていないか心配になった。

「うわー、さっみー!」
バーナビーの部屋に入った瞬間、虎徹が悲鳴を上げた。
「すみません、暖房が切れていたらしいです」
「……どっかホテル行くか?」
「いえ」
バーナビーは虎徹を壁に追い込んだ。
「二人で温め合えば寒くないでしょう」
「バニーちゃん……んぅ」
バーナビーは虎徹にディープキスをした。二人ともキスは好きだ。だから自然に上手くなる。彼らは舌を絡め合う。
(虎徹さん……匂いが昼間と違う)
スパイシーなノートがマイルドな穏やかなものに変わっている。これはこれでいい。
それに虎徹の体臭が混ざり合って、何とも魅惑的な媚香になっている。
「バニーちゃん、ベッドへ……」
虎徹はへなへなと床に座り込んだ。わかりました、とバーナビーは答え、虎徹をお姫様抱っこでベッドまで運んだ。
二度目のキスはもっと激しくなる。虎徹達はまだ体を起こしたままだ。虎徹とバーナビーの香水の匂いやら体臭やらが混じり合う。唇と唇が離れた時、銀の糸が名残惜しそうに繋がった。それが垂れて切れた時、虎徹は、
「あーあ」
と残念そうに言った。バーナビーも同じようなことを思った。
バーナビーは虎徹の服のボタンを弄る。
「もう寒くないでしょう?虎徹さん」
「……意地悪言うなよ。バニーちゃん」
虎徹が唇を尖らす。可愛い。
バーナビーは虎徹のネクタイのボタンを外して解いた。彼独特のフレグランスが香った。
つい欲情でくらくらしそうになる。
「……いい匂いですね」
「ん……バニーちゃんもいい匂いだよ」
「虎徹さん……もう我慢できません」
「ん……俺も」
今自分達がつけている香水は媚薬みたいな効果があるのであろうか。虎徹が蕩けそう顔をしている。他の男だと気持ち悪いだけだが、虎徹相手だとセクシーに思える。
我慢できない……その思いをぐっと抑えて、バーナビーはいつも通り丁寧に慣らそうとした。
虎徹の花芯が天を仰いでいる。涙を流しているそこをバーナビーは指でなぞった。
性の匂い。それが虎徹のスメルと混ざる。それはバーナビーを魅了する。バーナビーは指についた性の雫を舐めた。
ベッドの周りの空気に二人の媚香は溶けてひとつになる。そしてまた、バーナビーと虎徹も……。
「バニーちゃん……来て……」
バーナビーは頷いた。そして相手をひっくり返そうとする。
「バニーちゃん……顔が見たい……」
「でも……それだと辛くはありませんか?」
「辛くてもいい」
その答えを聞いて、虎徹の脚を高く上げて曲げさせる。蕾が今開かんとしていた。
「虎徹さん……!」
バーナビーは虎徹を貫いた。
「あっ!」
飛び散る汗。虎徹の匂い。
それらが全てバーナビーを誘惑する。自分の匂いにも興奮していることが彼にはわかった。
(いいですね……この香水は)
汗で匂いがきつくなる。それが逆に彼らをたかぶらせる。
「あん……バニー……」
なんて蠱惑的な声で僕を呼ぶのだろう。このおじさんは。
友恵さんすみません、虎徹さんをこんなにしてしまって、と謝る殊勝な気持ちはないではない。しかし、それすらも吹き飛ぶほど……虎徹とのセックスは気持ち良かった。
香水のノートのせいかいつもよりも体が燃え立つ。いや、虎徹との行為は快感だった。いつも、いつも……。
(虎徹さんのイメージの香水は全て買い占めましょうかねぇ……)
そんなことまで企んでみる。
「あ、バニー、俺、もう……」
限界が近くなる。虎徹の肉壁がバーナビーを締め付ける。バーナビーにも考える余裕がなくなる。目を閉じると二人の匂いが混ざった空気がバーナビーの鼻孔を刺激する。

達した時、バーナビーは確かに天国の香をきいた。

あったかい……。
「バニー、おい、バニー」
隣の虎徹の揺さぶりで目が覚めた。
揮発性の香水の匂いは、今はもうすっかり薄らいでいる。
「良かったー、起きた」
虎徹は嬉しそうにふにゃりと笑った。
「あれ……僕……」
「バニーちゃんあれから気絶しちまってさぁ……どかすの大変だったんだぜ、重いし」
ああ、あの香りのせいだ……とバーナビーは思った。気絶だけで済んで良かった。KOHたる自分が本当に天国に行ってしまって腹上死なんてことになったらしゃれにならない。
この世に帰って来れて良かった。また虎徹さんを抱ける。
香水プレイも悪くないな、とバーナビーは思った。今回は醜態を晒してしまったがもう慣れたであろうから二度目は余裕も出てくるだろう。
それにしても、この毛布は……。
「これ、虎徹さんが?」
「ああ、これでもうあったかいからな。暖房もつけたし」
「わざわざ持ってきてくれたんですか。ありがとうございます」
バーナビーは虎徹の唇にフレンチキスをした。ふわりと残り香がする。それはすぐに消えたがバーナビーにはいつまでも忘れることができなかった。

後書き
風魔の杏里さんからいただいたネタを元にして書いたお話です。
だからこのお話は一種のパラレルワールドです。
エロ度を上げてみたけどどうかな?
杏里さん、ありがとうございます。

2013.1.12
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