バーナビーの虎徹にしかしない手当て
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「まだ体力回復しませんか?」
 僕が訊くと、
「んー、まだちょっと本調子でないなぁ……バニ―ちゃん」
 虎徹さんが言う。
 僕はバニ―ではない、バーナビーです、と訂正するのも面倒臭くなって、僕は虎徹さんを自分のマンションへ連れて行く。
 それに、虎徹さん相手だと、バニ―と呼ばれても少しも嫌ではないのだ。今は、だが。
 むしろ、自分だけにつけられた愛称というのが、恋人同士みたいで嬉しい。
「さぁ、着きましたよ。ご飯にしますか?」
「……ベッド」
 虎徹さんは何気なく言ったのであろうが、それは僕のハートのど真ん中を射抜いた。
「あっ、やっぱり飯にすっか」
 何かを感じ取ったようで慌てて虎徹さんはさっきの台詞を撤回しようとするが、スイッチが入った僕はもう自分でも止められない。
「わかりました。ベッドで手当てしてからご飯にしましょうね」
「何もわかってねぇじゃねぇか……」
 不満たらたらな虎徹さんはそっちのけで、僕は虎徹さんをお姫様抱っこする。
「な……降ろせ、降ろせ!」
 虎徹さんが暴れる。
「動かないでください。落としますよ」
 まぁ、今更という気もしますけどね。
 僕と虎徹さんのお姫様抱っこ姿は、もう全シュテルンビルト中の皆さん方が観ているのですから。しかも何度も。
「虎徹さん、痩せましたね」
「そ、そうか……」
「というか、やつれましたね」
「うるせぇ! 誰が原因だ! この変態うさぎっ!」
「まぁ、引き締まっていいことなんですけどね……」
「バニ―ちゃん、人の話聞いてる?」
「ええ。一応」
「一応って何だよ!」
 ぶーぶー言う虎徹さんをそっとベッドに横たわらせた。
「やはり後藤さんに薬改良してもらった方がいいですね。もちろん、今のままでも僕は一向に構いませんが――」
「だっ!」
 虎徹さんが叫んで起き上った。
「改良してもらう! 絶対改良してもらう!」
「虎徹さん、いい子にしてください!」
 僕が怒鳴ると、
「うっ……」
 と相手は唸って黙る。その様子が子供みたいで可愛い。しかも、上目遣いのおまけつき!
 弱っている彼に無体はいけないと思うけど、これぐらいならいいだろう。
 僕は虎徹さんを起こすと、舌で首筋を舐めてやった。
「ひゃっ」
 虎徹さんがびっくりしたような声を出す。不意打ちに弱いんですよね、虎徹さんは。
「な……な……なにす……」
 眼鏡を素早く外した僕は、文句のひとつでも言いたそうな虎徹さんの唇を自分のそれで塞いだ。
「ん……ん……」
 虎徹さんは実はキスが上手い。妻帯者だったからというのは大した理由にはならない。きっと根っからの好き者なんだろう。
 逃げる舌を僕は追う。僕が追うのをやめると、遠慮がちにこちらに迫る。そのやり方が……何とも誘っているように思えるのだ。僕は虎徹さんの舌をつんつんと自分のそれで突つく。
「くっ……ふん……」
 虎徹さんは気持ちよさそうに瞼を閉じる。そんな姿も愛しい。僕は目を開けたまま口付けを送った。
 彼のベストのボタンを外し、ネクタイを解き、上からシャツのボタンも外してくつろげる。淡いピンクの胸飾りと小麦色の肌が開いたシャツの間から覗いた。
 僕はごくんと唾を飲み込むと、胸飾りを弄る。
 薄紅だったそこは濃く色づいてしこしこと固くなる。まるで花が色づくように。
 僕は虎徹さんの反対側の乳首の周りも吸った。緑色のシャツの上から一緒に。僕の唾液でシャツが深緑に染まる。
「あ、あ……バニ―ちゃ……」
 ぴったりと肌にくっついていたシャツをほんの少しはだける。
 胸飾りが紅色に滲む。肌も瑞々しく、そのエロティックさは壮絶でさえあった。
 何て可愛い声で鳴くんでしょう。虎徹さん、虎徹さん……。
 虎徹さんは世界一胸元がセクシーなオジサンだと思う。僕は夢中になって胸元を舐め回した。胸毛がないのも好みだ。
 綺麗に筋肉がついていて、ひとひらの贅肉も無い。この年にしては立派なもんだと思う。
 トレーニングはさぼるくせに、どうしてこんなけしからんセクシーボディでいられるのだろう。腰も細いし。
 汗に濡れた小麦色の肌は案に相違して、ひんやりと舌に纏いつく。でも、その皮一枚の下にはマグマみたいな熱さも秘めている。
 僕の行為はエスカレートしていく。ああ、ちょっといたずらするだけで我慢しようと思ってたのに……でも、虎徹さんがあんまり色っぽいから……。
 シャツを脱がしにかかろうかどうしようか……乱れたシャツ姿の虎徹さんも捨て難いですね……。
 僕がそんな逡巡をしていた頃、虎徹さんがはぁはぁと喘ぎながら、
「ば、バニぃ……」
 と舌ったらずな声で僕のことを呼んだ。
 ええ。今ならバニ―呼びでも構いませんよ。こんな眼福ものの貴方の姿が拝めるならね。
 つい、いたずら心を起こして彼の下半身にも手を伸ばす。
 きっちり反応してる……。
「ああ……ん……」
 虎徹さんの口から色っぽい声が飛び出る。瞼は半開きになった。意外と睫毛も長い。虎徹さんは僕のこと、「睫毛が長い」と言ってたけど、貴方だって長いですよ。
 こんな虎徹さんの表情、お亡くなりになった彼の奥さん、友恵さんはもう見たのかな。――わかってはいるけれど彼女に対してちょっぴり妬いてしまう。
 もう僕以外には見せないで欲しい。たとえ相手が若くて可愛いブルーローズであったとしても。
「虎徹さん。後藤さんが盛ったのは媚薬でしょうか?」
 虎徹さんはぶんぶんと勢い良く首を横に振る。
「さっきまで歩くのも覚束なかったくせに……大した淫乱ですね」
「違……あっ!」
「辛いでしょう、僕が抜いてあげます」
 虎徹さんのスラックスのベルトをくつろげ、下着から彼のペニスを取り出すと、僕はぱくっとそれに食いついた。
「あ……あ……ひゃっ……バニ―ったら……や、め……」
 うん。虎徹さんのこの方面は無事だな。ちゃんと大きくなるし。
 薬の副作用で勃起しなくなったらどうしようと思っていたところだ。虎徹さんの精液は美味しいし。第一、反応してくれないとこっちがつまらない。
 彼のペニスが一際大きくなった。
 出そうだな。
「あ……あっ……あーーーーっ!」
 虎徹さんの雄の象徴からたくさんの精液が出て来た。僕はそれを迷わず飲み込む。一滴も残さず。
 早いですね。まぁ、御無沙汰だったですからね。
 寂しかったですか? すみません、虎徹さん。
 僕がヒーロー業で忙しく活躍している間、貴方は孤閨を守ってらしたんですね。それでこそ恋人の鏡です。友恵さんとのことは――まぁ、僕と会う前のことですしね。
 貴方も『ワンミニッツヒーロー』として復活したからいろいろ大変でしょうが……。
 またいかせようとすると――。
「バニ―ちゃん、俺、もうダメ……」
 何でですか! 虎徹さん! 貴方のシンボルは素直に反応しかけているというのに……!
 まぁ、虎徹さんはもう年だから、いくのにも体力を使うということだろう。
 少し休ませてあげなければ――大人にならなければいけませんね、バーナビー。オジサンは労らなければ。
「薬の副作用はこっちの方面にはあまり影響ないようですね」
「オジサン、それはもっと違う方法で知りたかったよ……」
 虎徹さんは涙目だ。何でだろう。
 僕もいきたいところだけど、我慢我慢……。
 虎徹さんに迷惑をかけないように、後でこっそりトイレで抜いてこよう。
「おまえも勃ってるな」
「だって、貴方の手当てをやっているんですから……可愛い顔を見れなかったのは残念ですが、腰に来る喘ぎ声は聴けたし……わっ!」
 虎徹さんは狡そうな目をすると、僕の履いているパンツから僕自身を握り込んだ。
 こ、これは……。
 相手は仕返しのつもりなんだろうけど、はっきり言って煽っているとしか思えません。
 しかも、自分でやるより気持ち良さが上だ。さすが虎徹さん、上手いのはキスだけじゃない……。
 僕はどうしても、ブルーローズに「ごめんなさい」と謝る気持ちになってしまう。
 こんないいことを独り占めしてしまって、本当に彼女には悪いと思う。
 僕の中心も既に痛いほど反応を示している。
「待ってください……」
 僕は下着からペニスを取り出した。虎徹さんはどう出るか……。
 虎徹さんは僕のものに手淫を続行した。
 もしかしたら、僕と同じようにフェラチオするかなと思ったけれど。
 硬度を回復した虎徹さんのも、僕のと一緒に天を仰いでいる。何ていい眺めなんだ。虎徹さんのペニスは綺麗だから、見るのも楽しい。
 一層早い感覚で虎徹さんの手が僕のペニスを上下にしごく。
 限界だ。こちらも久しぶりだったんだから――。
 僕の中から子種が飛ぶ。――済まない。僕の精子。将来どんな偉人になるか、君達なりに夢見ていただろうに。
 でも、無駄遣いとは思わない。僕は満足だ。
 虎徹さんも二度目の絶頂に達した。僕のを弄っただけで達するとは、どこまで淫乱で可愛い人なんでしょうね。
 互いの白い飛沫が服に飛び散っていた。シーツにもだ。後で取り換えねば。
「さぁ、シャワーを浴びて着替えますか。それからご飯にしましょう。今日は僕が作ってあげますね」
「ちゃんとした食いもんなんだろうな」
「え? 僕の精液の方が欲しいですか? 僕だったらいつでもリクエストにお答えしますよ。――それもたらふくね」
「話聞いてたのかよ? ――そっちは間に合ってる」
 虎徹さんは赤くなってふい、と横を向いた。
 すっきりして元気になった僕は、虎徹さんのいうところの『ちゃんとした食いもん』を用意した。
 その後、僕達はどうしたかって? ――ふふ。これ以上は言うだけ野暮でしょう。

 翌日ブルーローズに虎徹さんが、
「タイガー、まだ薬切れてないの?」
 と心配されるのはまた別の話――。

後書き
えっと……エロは書き慣れてないんで、おかしなところがあるかもしれません。
それにしてもバニ―ちゃん、すっかりエロくなっちゃって……(笑)。
2012.9.29

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