スウェーデンとフィンランド

 フィンランドも既に覚えていない昔の話――
「こちらがスウェーデンさんだ」
「ん」
 フィンランドは、スウェーデンを一目見て、『怖そうな人だ!』と思った。
 大きな体で無表情。これほど威圧感がある男にフィンランドは会ったことがなかった。
(ど……どうしよう……何か話しかけないと)
 でも、間が持たない。
 しばらくの沈黙の間、遂にフィンランドが口を開いた。
「ぼ……僕、フィンランドと言います。宜しくお願いします」
 数秒の間の後、スウェーデンが言った。
「スウェーデンだっぺ。よろすく」
(え……この人……)
 かなり訛ってる?
 その途端、フィンランドは笑い出した。
「あーっはっはっはっ」
「どうすた?」
「いや、何でもないです。スウェーデンさんて、見かけによらず面白いんですね。僕のことはフィンでいいですから、あなたのこと、スーさんて、呼んでいいですか?」
 そして、数秒、間。
(ど、どうしよう……もしかして怒らせちゃった?)
 内心びくびくのフィンランドであった。
「ええがな」
 スウェーデンが引きつった顔を見せた。それが笑顔であるということに、しばらく時間がかかった。
 これが、スウェーデンとフィンランドの出会いである。そして、いろいろあって、スウェーデンはフィンランドの友達になった。
 スウェーデンは、何か勘違いしているようではあったが。
「おめぇは今日から俺の女房だべ」
「え? 何?」
 彼のこの台詞が聴こえなかったのは、フィンランドにとってはよかったかもしれない――。

後書き
スウェーデンの訛りは適当です。東北弁なのかなぁ……。
出会いのシーンも勝手に捏造しちゃいました。
2010.1.8

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