『俺物語!!』小説『凜子って呼んで』

うち、大和凜子。
フルネームを名乗るのにはわけがあって……。
うちは剛田猛男くんというかっこよくて優しい男の子と付き合ってるんだ。うわっ、これってノロケかな。みんなはノロケって言うけど……。
うちはたけおくんて呼んでるんだ。逞しくって優しくてとても強い……。
あ、本題に入らないとね。たけおくんはうちのこと、『大和』って呼んでるんだ。
でも、うちは一度でいいから『凜子』って呼ばれたい。たけおくんとの仲はとても上手くいっているし、贅沢な悩みだと思うけど。
もし結婚したら『凜子』って呼んでくれるかな……きゃっ。
うちはたけおくんと結婚したい。たけおくんもそう思っているといいな……。
今度会った時に、
「凜子って呼んで」
とお願いしてみようかな。
明日、たけおくんと待ち合わせしてるんだ。おやすみなさい。

翌日。
「たけおくーん」
「大和!」
たけおくんは相変わらず大和と呼ぶ。でもね。
「どうした?大和」
「う……何でもない……」
がんばれ凜子!
「ねぇ、たけおくん、一度でいいから……うちのこと、凜子って呼んで」
たけおくんが、
「わかった……。凜子!」
と言ってくれた時は胸の中がわーっとなって気絶してしまいそうだった。
刺激が強過ぎる……。
「やっぱり大和でいいよ」
「わかった。大和」
ああ、今も心臓ばくばく言ってるなぁ……。
うち、ほんとにたけおくんのことが好きだ。好き過ぎて自分が戸惑うくらい。
みんな、たけおくんの友達の砂川くんがかっこいいって言うけど……うちはたけおくんが好きだなぁ。
たけおくんもかっこいいのに彼女とかいなくて良かった。
いつか、唇にキスとかもしてみたいなぁ……額にキスはやったことあるから……。
って、何言ってるんだろ、うち。
今日はたけおくんがうちのこと凜子って呼んでくれた記念日だね。記念日また増えた。たけおくんといると毎日が記念日みたい。年表書かなきゃ。
年表書いてても、やっぱりにやにやしちゃうと思う。
たけおくんといるとそれだけで幸せ。
砂川くんも応援してくれているし。
砂川くんはイケメンでやっぱり優しくて、うちらの相談にのってくれたりもする。たけおくんと両思いになれたのだって、砂川くんのおかげだし。たけおくんの次に好きなんだ。たけおくんは男の子の中では一番好きだけど。
砂川くんが男の子で良かった。砂川くんが女の子でたけおくんが好きだったら、勝てるかどうかわからないもん。
でも、この先たけおくんのことを好きになる女の子がいたとしても、うちは絶対退かない!あくまで戦うんだ!たとえどんな人が相手でも、うちのたけおくんに対する気持ちは誰にも負けない!さっきはちょっと弱音吐いちゃったけど。
「……凜子」
「え?何?」
「ちょっと……呼んでみたくなったんだ。……い、嫌だったか?」
嬉しい!でもその不意打ちは反則だよぉ。
「たけおくん……大好き!」
そう、世界で一番!
「たけおくん、手、つなご」
うちが言うとたけおくんは笑顔を見せた。たけおくんの笑顔って可愛いんだ。
たけおくんの手から温かさが伝わってくる。
これからもいっぱい手をつなごうね。想い出もたくさん作ろうね。
「やっぱり凜子って呼ぶのは照れるな」
と、たけおくんは言った。ああ、うち、何だかやっぱり幸せだなぁ……。

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