キンハレ小咄 『おはよう』



「――……レム、ハーレム」
 ん……誰だ。この声は……。
「ハーレム」
 げっ! ルーザー!
 俺はベッドからずり落ちると、ざざざざっと後ずさりして頭を打ち付けた。
「……てぇ」
「大丈夫か?」
 よく見ると、それは甥のキンタローであった。
 紛らわしいんだよ! てめぇ! つーか、髪切った途端、ますますあいつに似て来やがって。
「何の用だ」
「起こしに来た」
 あー、くそ。こいつの顔は寝起きには悪い。
「今度から別のヤツに起こすよう頼む」
「嫌だ」
「嫌だぁ?! なんでだ」
「寝起きのハーレムを見られるのが嬉しいから」
「~~~~」
 なんちゅう爆弾発言をしてくれるんだ。この甥は。
 というか、いつからそんなキャラになった。
 この顔でこういう台詞吐かれると、あいつを思い出すんだよ! もうほっといてくれ。
「ああ、そうそう。まだ言ってないことがあったな」
 今度は何だ。
「おはよう」
「……おう」
「ハーレム、ちゃんと言ってくれ」
「……おはよう」

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