ロングインタビュー5

――私は、インタビュアー、前HN夕城さなえこと、Tomokoと言います。今、ある男と、待ち合わせをしているんですが……。あ、来ました。遠くからでもわかりますねぇ。あの真っ赤な衣装。

Tomoko(以下T):高松さ~ん!

高松(以下高):こんにちは。わざわざご苦労様です。

T:今回は、藍上葵さんからのリクエストで、あなたにインタビューをしに来ました。

高:それはそれは。ご期待に沿えるかどうかわかりませんが。

T:実は、リクエスト頂いたの、三年以上前なんですよね。

高:そして、『PAPUWA』開始から、約三年半……いったいその間、何してらっしゃったんです?

T:それは、いろいろ……。

高:『PAPUWA』が始まって、貴方の今までのインタビューも、『long』(長い)じゃなくて、 『wrong』(間違い)になってしまいましたね。

T:う……。ハーレムさんも、原作の方では、一度、特戦部隊から除隊されてますしねぇ。今は、復職してますが。

高:私も三年間引退してましたしねぇ。おかげで世の中の動きに疎くなりましたよ。

T:あ、そうそう。コミックス登場おめでとうございます。いつの話題だ!という感じですが。

高:いえいえ。これもグンマ様とキンタロー様への、愛の証ですよ!

T:私、最近、キンタローさんとグンマさんが、好きになりましたよ。

高:それは嬉しいですねぇ。私も愛の限りを尽くして、お二方に仕えているんですが。

T:レーダーそっちのけで、二人が出るサッカーの試合をビデオに撮っているぐらいですものね。

高:当たり前じゃないですか。このベストショットの機会を押さえずして、何が世話係ですかッ!!!

T:それにしても、確か、『南国少年パプワくん』三巻では、『世界はグンマ様と私の二人だけのもの』といった内容の台詞を口にしていたじゃありませんか。ルーザーさんの息子と思われていたシンタローさんは、どうでも良かったんですか?

高:まさか! しかし、あの方には、マジック様がいましたし。シンタロー様は、ルーザー様よりジャンにそっくりでした。だから、ついそれ相応の態度をとってきましたが。

T:幸せそうでしたか? シンタローさんは。

高:それはもう。コタロー様が生まれるまでは。しかし、あんな複雑怪奇な真相が隠されていたとは知らなかったから、ルーザー様のご子息とばかり考えていたんですよ。黒髪も、突然変異だと。私は彼のことを調べたかったんですが、妙なことに、マジック様がそれを止めたんですよ。彼について、不都合なことが発覚するのを、恐れていたんでしょうね。

T:赤子すりかえ事件は、どういう動悸でサービスさんに協力したんですか?

高:ルーザー様のご子息には、幸せになってもらいたかったんです。それに、ルーザー様を見捨てたと考えていた当時、マジック様が、知らずにルーザー様の息子を可愛がることを見ること。それが私、いえ、私とサービスの復讐だったんです。

T:けれど、高松さんは、本当にグンマさんを可愛がっていたじゃありませんか。マジックさんの本当の息子を。

高:ええ。最初は疎ましくもありました。でも、私は、あの方の素直さに心うたれたんです。

T:キンタローさんをやたらに心にかけるのは、罪悪感からですか? それとも、ルーザーさんと瓜二つだからですか?

高:両方です。私達のせいで、キンタロー様の運命は狂ってしまった。そして、シンタロー様の運命も。けれど、私は嬉しいんです。今、三人は仲が良いですからね。

T:良かったですね。

高:ええ、本当に。

T:そのお二方に、「もう自分の力で何でもできる」と言われて、引退したんですよね。その間、いったい何をしてたんです?

高:引退……後進に道を譲った、と表現してください。現場から離れた理由は、それだけじゃないんですよ。ジャンが台頭しまして、『ノア・プロジェクト』は、全面的に彼に任されました。

T:ノア・プロジェクト?

高:宇宙船ノアを造る計画ですよ。私も少し、加わりましてね。

T:それじゃ、引退じゃないじゃないですか。

高:けれど、第一線からは退きました。

T:他には何かされていたんですか?

高:これも、ジャンと一緒に、人造人間の研究をしてましたね。後は、クローンの研究。

T:クローンの研究なんて、認められるんですか? 神の領域ですよ。

高:ガンマ団でなきゃ、クローンの研究や人造人間の研究なんて、大っぴらにはできないですね。

T:クローンは、生殖能力はあっても、寿命が短いと聞きましたが。

高:ええ。それも、課題のひとつです。人造人間の作成にも、力を注いでいます。その他には……秘石眼の秘密を明らかにしようと、悪戦苦闘中ですよ。

T:なるほど(これはC5に続く、と)。

高:なんせ、こちらには時間が腐るほどありましたしね。

T:四年の間に、科学力が異様に発達したと思うんですけど。

高:それは、団も頑張りましたからねぇ。それに、こっちの世界で四年といっても、我々、リアルタイムで年取っている訳じゃありませんし。急に科学が進んでいてもおかしくない。これが二次元の強みですね。

T:話は変わりますが、高松さん達の努力によっても、コタローくんは四年も起きなかったようですが。

高:ええ。何故だか私にもわかりません。そして、突然の覚醒。もしかしてこれは、医療技術を越えた大きな力が働いたのかもしれませんね。

T:ほう。その大きな力とは?

高:それがわかれば苦労はしませんよ。あの島と関係してるかもしれません。

T:不思議な力がありますものね。パプワ島には。

高:面白い植物があったりします。私にとっては、まさに楽園でしたよ。

T:かたつむりは、雌雄同体だけど、交尾しますよね。

高:はい。

T:ところが、交尾しなくても子供を産むかたつむりが存在するんですよ。しかも、孵化した状態で。

高:そんな馬鹿な……と言えないところが、あの島の神秘ですね。研究に値します。

T:ルーザーさんも、気に入るでしょうか。パプワ島。

高:ええ。私の想像に間違いがなければ。

T:ルーザーさんといえば、高松さんにとって、ルーザーさんとは、どういう存在ですか?

高:憧れ、ですね。何をやっても完璧で、しかも白皙の美貌の持ち主!

T:ルーザーさんは、マジックさんを頼っているところがあるようにお見受けしましたが。

高:まぁ、年の近い兄弟ですしね。当然とはいえ、羨ましい、妬ましいことに変わりありませんが。

T:キンタローさんをルーザーさんと重ねることはお有りですか?

高:そういう部分もあるかもしれませんが、ルーザー様はルーザー様、キンタロー様はキンタロー様ですよ。

T:高松さんといえば鼻血ですが、よく出血多量で死にませんね。

高:それは愛の力です。鼻血は、滾る想いの現れなんですよ。

T:でも、いきなり献血を迫るのは、やめてくださいね(笑)

高:どうしてですか? 血の足りない人に、血液を恵む……これぐらい尊い行為は滅多にないと思いますがねぇ。

T:それは、あなたのお考えでしょう。

高:私だったら、グンマ様やキンタロー様の為にだったら、何リットルでも献血しますがねぇ。

T:いや、彼らは、そんなにはいらないと思いますよ。

高:ああ、グンマ様やキンタロー様を流れる私の血~♪

T:(聞いてないな、この人)キンタローさん達に匹敵するぐらいの策士が、心戦組にいるようですが、そのことについては何か? 心戦組、ご存知ですよね?

高:え? 心戦組ですか? そんなの、私の力が加われば、敵ではありませんよ。でも、その人……山南ケースケでしたっけ? その人には感謝しないといけませんねぇ。グンマ様とキンタロー様が、私に助力を希ったのも、その方達のおかげですから。

T:山南さん、ご存知だったんですか?

高:ええ。マジック様のサイン会には、必ず一番先に来ている人でしょう。ちょっと話題になってたんですよ。マジック様にあんなに興奮するなんて、私にとっては、気が知れないってとこですけど。

T:高松さんは、人のこと言えないんじゃないですかねぇ。

高:あなたこそ、ハーレムにあんなに入れあげるなんて。

T:わ、矛先がこっちに回ってきた(笑)。そんなこと、いいでしょう、もう。それより、近藤イサミさんや土方トシゾーさんは知ってらっしゃいますか?

高:近藤イサミは、心戦組の局長……でも、実際にお会いしたことはありませんがね。噂によると、少し変態なところもあるけど、心酔している隊士も大勢いるとか。土方さんも、結構人気あるようですがね。

T:私、近藤さんによく似た人知ってます……くく。

高:なんですか? その意味深な笑いは。

T:原田ウマ子さんは知ってますか? というか、知ってますよね!

高:なんでそう意気込むんですか。とにかく、強い、という意見が大多数ですね。あと、逞しいけど、実は女だとか。写真を見たことありますが、デフォルトだと、どうしても女性には見えないんですよね。

T:名前に子とつけば、女性だとわかるでしょ?

高:いやいや。小野妹子のケースもありますし。ほら、CMでやってたじゃありませんか。小野妹子は、女じゃありません、て。それに、私、最初はウマシと読むんだとばかり思っていましたからねぇ。

T:そんな不自然な(笑)

高:まぁ、冗談はさておき。

T:沖田ソージさんはいかがです? この方、意外とキーパーソンかと思うのですが。

高:かわいいけれど、腹黒な方として、有名ですね。あと、知っているのは、山崎ススム、斎藤ハジメ、永倉シンパチ……etc。最近、伊東カシタローとかいう隊員のデータを見たんですが、誰かにそっくりなんですよね。誰でしたっけか?

T:その質問、伊東さんが聞いたら、ものすごくご立腹すると思います。心戦組の次は、伊達衆についてお訊きしたいんですけど、彼らは高松さんにとって、どんな存在ですか?

高:実験材料(きっぱり)

T:わぁ、身も蓋もない。

高:ミヤギ君には、盲腸がないんですよ。私が切り取りましたから。これで、虫垂炎になることもなくなったって、今頃感謝してくれてるかもしれませんねぇ。あ、トットリ君は、二十歳過ぎても生えてませんでしたよ。アラシヤマ君が、いつでもどこでも血を吐ける、という愉快な体質になったのは、私の薬のおかげでもあります。あと、コージ君からは、たくさん血をもらってました。彼、O型ですし。

T:O型だと、何かあるんですか?

高:O型の人間は、一応、他の血液型の人間にも、血を与えることができるんですよ。AB型だと、AB型の人にしか与えることができませんが。O型の人間は、O型の人からしか血をもらうことができません。まぁ、今は、同じ血液型の人から輸血するのが、主になってますがね。

T:じゃあ、キンタローさんはいざ知らず、グンマさんには、高松さんの血液は流れることはない、ということですね。だって、高松さん……AB型でしょ?

高:はっ! そうでした! グンマ様~! AB型に生まれた私をお許しくださーい! せめてO型であればッッ!!

T:質問を変えます。ハーレムとの漫才を見たい、という意見があるのですが。

高:漫才って……いつも通りの会話が漫才と受け取られるとは心外ですねぇ。仲は良くないけど、彼のことは嫌いではありません。ぞろっぺえなところとか、口より手が早いところとか。

T:それって、皮肉?

高:よくわかりましたねぇ。

T:本人がいたら、えらいことになりますよ。

高:いいんです。本人にもちゃあんと言ってありますから。

T:なお悪いですよ。ハーレムファンの私を怒らせた罰として(笑)、何か一発芸やってください。

高:一発芸? 一発ギャグじゃだめですか?

T:いいですよ。

高:私がジャンの遺影を作ったとき、ジャンがアホ面晒しながら、ピースしている写真を使いました。サービスが、「もっとマシな写真はなかったのか?」と言いました。そこで、私は答えました。「遺影なだけにイェイ」相手には、「下らん」と一蹴されましたが。

T:それ、『エ○タの神様』でアン○ャッシュが使っていたネタですね。

高:そうでしたね。よく似たネタをやっていました。

T:他にも、訊きたいことがあるんですが。

高:なんです?

T:ダークマターって何ですか?

高:宇宙の中の、見えない物質のことです。銀河の回転運動を調べると、見える星の重力だけでは説明がつかないところがあるんですよ。そこで、見える星の十倍か百倍ぐらいの、見えない物質がある、と考えられています。今のところは、正体不明ですね。

T:まだ知りたいことがあります。モノポール粒子とは何ですか?

高:モノポール粒子ですか? 磁石には、S極とN極があります。しかし、N極、S極だけの粒子があってもおかしくはない。これを、モノポール粒子と言います。

T:エネルギー遷移というのは?

高:エネルギー間の遷移ということですね。高いエネルギーから、低いエネルギーに移ることを言います。これを説明するためには、あなたに量子力学の知識があることが前提ですが。

T:それで、モノポール粒子のエネルギー遷移というのは?

高:次元レーダー装置に必要な原理です。でも、詳しくは知らないでしょう。

T:はい。確かに、そのう……詳しくは。

高:私にも、あなたの世界の物理法則は、はっきりしません。こことは少し違う世界のようですし。それに、あなたがわからないことは、私にもわからないんです。

T:どうしてです?

高:これは、あなたの考える高松像ですから。私はここでは、それ以上にもそれ以下にもなれません。私はあなたの脳内に住んでいて、時と場合に応じて、インスピレーションを与えるのです。知識と技術によって。

T:では、もっと頭の良い人に頼んだ方が良かったのでしょうか……。

高:まぁ、そう悲観することはありませんよ。

T:そう言ってもらえて嬉しいです。終わりに、何か一言。

高:そうですねぇ……人間は、どんな不可能も、可能にしてきたんです。人間は、原爆も作りましたが、月へ行くロケットも作ったのです。科学は、使う人次第で、どうとでもなるのです。

T:それでは、本日は、どうもありがとうございました。

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