ロング・インタビュー3

インタビュアーY:ハ~イ。ロングインタビューも、ようやく第三弾です。ハーレム隊長、今回はよろしくお願いします。

ハーレム(以下H):ああ、何でも訊いてくれ。

Y:髪型、元に戻したんですか?

H:ああ。もうすぐ2000年だしな。

Y:なんか関係あるんですか、それ。

H:いや、特にない。

Y:なんなんだか……ご結婚はされてるんですか?

H:いや。したことないな。

Y:独身貴族ですか。

H:まぁ、そういうことになるな。

Y:何かポリシーとか、お持ちでいらっしゃったんですか。

H:いいや。あちこち飛び回ってたら、あっという間にこの年よ。結婚は…一回ぐらいはしてみたいと思ったこともあったがね、なんだか煩わしそうでな。

Y:今からでも遅くはないんじゃないですか。

H:もう少し落ち着いたら、考えてみるさ。

Y:特戦部隊の今後の活動は?

H:ああ、あれね。ガンマ団自体が宗旨替えしちまったもんで、今まで通りとはいかないな。

Y:それは伺っています。仕事はあるんですか?

H:まぁな。ぼちぼちやっている。

Y:今のガンマ団にとって、特戦部隊とはどんな存在ですか? まさか、冷や飯組とか…

H:と云ったらあいつらが納得しないだろうな。
 特戦はいつでも出動可能な遊撃隊だ。
 ガンマ団は今一番大変な所なんだ。何せ、総帥が替わって、方針もがらっと変えてしまったからな。
 今まで協力関係にあった組織が、背くということも出てくる。それを押さえるのも俺達の役割だ。
 周りは敵だらけなんだぜ。ガンマ団が今まで築いてきた地位と財を虎視眈々と狙っている。

Y:シンタローさんは、あなた方が今一番団で血生臭い仕事をしていると仰ってましたよ。

H:そりゃあ、端から見ればそう映るだろうな。俺達は別に今の直接ガンマ団の情勢に関わり合っているわけではない。
 ただ、好き勝手に飛び回ることができれば、それで満足なのさ。

Y:ハーレム隊長は飛行機ってお好きですか?

H:というより、空を飛ぶ物全般が好きだな。

Y:あの飛行船はどうやって手に入れたのですか?

H:兄貴からの支給品を俺が大幅に改良したんだ。普段の寝泊まりはあそこでしている。

 

Y:何か小さい頃のあだ名とかあれば、教えてください。

H:あだ名? …そうだな。マジック兄貴からはよく子獅子とか云われてたもんだが…そうだ。あれがあったな。スフィンクス。

Y:スフィンクス?

H:子供の頃だけどな、サービスと二人して、なぞなぞ遊びに夢中になったことがあったんだよ。
 サービスはすぐに飽きたんだけど、俺はなかなか飽きなかったんだよ。
 で、玄関の前に陣取って、通ろうとするヤツになぞなぞを出すんだ。正解を出さなければ通さないという…だから、ルーザー兄貴にスフィンクスってあだ名をつけられたんだ。

Y:なるほど。微笑ましいですねぇ。

H:一生懸命考えたつもりのなぞなぞでも、兄貴達はすぐに解いてしまうんだ。悔しかったな。
 来客はしばらく足止めできたけど。

Y:お客さんにまで出したんですか?

H:そうすると、兄貴が来て怒られてさぁ…しかし、あれは面白かったな。

Y:サービスさんと隊長は双子ですよね。複雑な気持ちもいろいろあると思いますが、できたら、それについて、お話し願えませんか?

H:双子だが、ヤツについては俺の方が入れ込んでた。
ヤツは俺のことなど気にもとめてないにも関わらず…な(ここで苦笑い)
サービスが幸せになるためだったら、どんなことでもしてやる…と、そう考えてた時期があったよ。
今はもう、互いに別々の人格と別々の運命を持っていて、俺にできるのは、道の重なり合った部分でだけと、割り切っているがな。
だから、ジャンの気持ちが少し、俺にはわかるんだ。

Y:ジャンさん?

H:ガンマ団に帰ってきたことは、知ってるだろう。あいつ、サービスについてかなり本気らしい。
あいつ、いつか俺に云ったんだ。俺にも嫉妬に似た感情抱くことがあるって。
サービスの全てを独り占めしたいという意味なんだろうが、俺にまでいちいち嫉妬してたら大変だな。
あいつよりサービスの方が早く死ぬ。サービスが死んだら、あいつどうする気だろうな。少し哀れにも思うよ。

Y:そうならないために、ジャンさんは研究を始めたんでしょう。不老不死の薬について。

H:ああ。その研究が是非成功することを、俺も願っていると、ヤツに伝えておいてくれ。

Y:わかりました。必ず伝えましょう。
にしても、あれはすごかったですよね。双子の眼魔砲。息がぴったり合ってました。

H:ああ。もうだいぶ前のことになるな。覚えているよ。

Y:さすがに双子だなぁと、私は感心しましたが。

H:あれは…多分偶然だろう。やろうったって二度とやれるもんじゃない。
普段はお互い、考え方から何から、全く違うからな。

そう答えた隊長の横顔は、どこか淋しそうでした……

 

Y:駄菓子では何が好きでしょう。

H:駄菓子? なんだそれは?

Y:駄菓子、ご存じないですか? 日本には高級菓子の他に、安くて、手軽に手に入る駄菓子というものが存在するんですよ。

H:ふうん。そうなのか。そうだな…日本に行った時、せんべいというものを勧められたのが印象深かったが…なんだろうな、あれは。米を平べったく伸ばして醤油で焼いたものか? 歯触りが良くて、なかなかうまかったぞ、あれは。あれも駄菓子というのかな?

Y:う~ん。云うと思いますがねぇ。

 

Y:ところで隊長、今日の下着は何色ですか?

H:……なんだそれは。そんなこと訊いてどうするんだ。

Y:いや、だから、いろいろ参考にと。

H:俺なんかより、サービスの下着をチェックした方が面白いぞ。あいつは時々女物を履いてるからな。

Y:ええっ?!

H:そこで驚くな。嘘に決まっているだろう。

Y:そうなんですか?

H:…ともあながち言い切れんな。なんせあいつは、双子の兄の俺でさえ、謎の多いヤツだからな。

Y:もしかしたら、女物を履いてるのは本当かも…

H:後で『好き勝手なこと云ってる』と云われそうだな。サービスに。

Y:隊長は下着ならブリーフ派ですか? ビキニ派ですか? トランクス派ですか? それともその他? ノーパン健康法、Tバック、ふんどし……

H:知らん。時と場合によって違うからな。夏はトランクスだ。これで満足か。

Y:隊長、ふんどし知ってます?

H:知ってるが……あんな長い布みたいなもん、どうやって履くんだ? 巻き付けるのか?

Y:では、ふんどしの基本構造は知らないと……良かったぁ。

H:? なんだか知らんが、俺がふんどしを知っているか知らないかが、そんなに大問題なのか?

Y:そうですよぉ。イメージに関わる問題ですからね。

H:しかし、あの長い布をどうやって巻くかには、少し興味があるな。

Y:興味なんて持たないでください。お願いですから。

先にサービスさんの所にお伺いすれば面白かったかも…そう考えるインタビュアーYであった……

 

Y:四兄弟の皆様を一言で云うと?

H:一言では云えない存在だな。

Y:そんなこと云わないで、無理を承知で訊きますが、ちょっとまとめてみてください。

H:そうだな。サービスは『魔女』だろ。ルーザーは『人当たりのいいサイコ』だ。マジックは…

Y:マジックさんは?

H:マジック兄貴はやはり一言では言い表せねぇなぁ。俺、マジック兄貴に対しては、複雑な感情持っているんだ。本当に覇王だったのでは…と思うこともあるし、時々すごいおちゃらけで生きているんじゃないかと思うこともある。

Y:覇王だったのでは…過去形ですね。

H:そうだな。なんだかんだ云っても、すごい男だったよ…と、まとめておこう。

Y:またもや過去形ですね。

H:今はいい父親に専念してるからな、コタローのことで反省したのか。ああ、つい最近までコタローと一緒に南の島にいたんだが、もう帰ってきているぞ。インタビューするなら、今頃が適当なんじゃないか。

Y:噂で聞いたんですが、ルーザーさんのお墓に、墓参りに行ってるんですって?

H:ああ、時々な。キンタローやグンマを連れてくこともある。

Y:ということは、隊長の、ルーザーさんに対する感情は、今はそう悪い物ではないのですか?

H:まぁな。あいつも可哀想なヤツだったんだろうし、昔のことにいつまでもこだわってたって、仕方ないしな。

Y:小鳥は好きですか?

H:なんだ、ルーザーの話題の後にそんな質問するなんて、何を狙ってるんだ?(笑)
まあいいか。俺は動物は好きな方なんだ。なんでもな。
だけどあの事件以来…というのは、ルーザーに小鳥を殺された件だが、知っているか?

Y:はい。

H:あの事件以来、俺は、動物を飼おうという気が、全くなくなってしまったよ。もう一度あんなことがあるかもしれないと思うと、怖くて云えなかった。動物は飼うものじゃない、檻の中に閉じ込めてはいけないものなんだって、自らそう言い聞かせてな。
…そう、俺はルーザーが怖かった。小鳥を捻り潰して笑っていた、奴が。
それ以来、本当に大切な物は、あいつには隠すようになったよ。成功していたかどうかは別だが。

Y:本当に大切な物って…たとえば?

H:たとえば…………
まぁ、いいじゃねぇか、そんなこと。昔のことだ。

Y:はぁ。

H:お。(と云いながら携帯を取り出す)さてと、俺はこれから仕事に行かねばならんが、聞きたいことはこれぐらいでいいか?

Y:どうも、いろいろありがとうございました。まだまだ聞きたいことがあったような気もしますが…

H:なんだ?

Y:思い出したら、また来ます。今日は本当にありがとうございました。

H:聞きそびれたことがあるんだったら、いつでも来な。待ってるから。

  

すぺしゃる・さんくす:

睦月ちはる様

多貴様

益田 圭三様

れい様

益田さんには、回答までいただけて、本当に感謝しています。
あと、れいさんからは、ハーレム像についてのヒントをいただきました。ありがとうございます。
あと、暁ひさぎ様、あなたの一言がなければ、このインタビュー、実現しませんでした。
篤く御礼申しあげます。
(なお、このインタビューは、当時の原文ママです)

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