バーナビーの幸せ家族 番外編

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「バニ―、俺フロ入りたいフロ!」
「はい、わかりました。一緒に入りましょうね。虎徹さん」
「わーい」
 カリ―ナが冷たい目で僕達を見ている。
 ブルーローズことカリ―ナ・ライルは、今日は一緒に僕の家に泊まることになっている。彼女も多分虎徹さん狙いだけど。
「ハンサム……わかってるんでしょうね。その子、タイガ―よ」
「ええ。わかってます」
「タイガ―子供になったんだから変なことはしないでしょうね」
「そんなことはしません」
「どうだか」
 カリ―ナが読んでいた雑誌に視線を戻す。
「僕と虎徹さんが入るのが嫌でしたら――ローズさんが一緒に入ったらどうでしょう」
「んなっ! そんなこと、できるわけないでしょ!」
「俺、それでもいいけどなぁ」
 虎徹さんがやに下がる。全く――。
「タイガ―のスケベ!」
 カリ―ナの文句もわかる気がする。
 今は可愛らしい子供でも、本当の虎徹さんは大人の男――おじさんなのだ。
 結局、お風呂には僕と虎徹さんの二人で入ることになった。

 僕達はシャワーで体を一通り洗う。
 僕のお風呂には子供用シャンプーハットは置いていない。いくら物持ちが良くても、そんな物どこかに行ってしまったからだ。
「さ、虎徹さん。髪洗いましょうね」
「うん!」
 可愛いな。もちろん、元の姿の虎徹さんにも可愛いところはあるんだけど。
「洗ってあげますね」
「サンキュ」
 いつもこのぐらい素直だといいのにな――とこっそり思う。
 髪を丁寧に洗う。頭皮を傷つけないように……。
「流しますよ。目をつぶっててくださいね」
 そして、シャワーでシャンプーを流した。
「はー、さっぱりした。バニ―ちゃん頭洗うの上手いな」
 そう言って、虎徹さんは立ち上がって振り返る。可愛い果実が露わになる。だが、僕は目が悪いので眼鏡のない今、その光景をはっきり見ることができない。
 くそっ! 目さえ悪くなければ――でも、眼鏡をつけてお風呂に入っても曇るだけだしな……。こんなことに能力を使うわけにも行かないし。
「俺、バニ―ちゃんの背中洗うー」
「いえ、それは……」
「遠慮すんなって。さっき髪洗ってくれたじゃねぇか」
 僕は虎徹さんの言葉に甘えることにした。
 虎徹さんがごしごしと背中をこすってくれる。
 ああ、いい気持ちだ……。
 一生懸命がんばってタオルを動かしているのがわかる。
 あの小さい虎徹さんが……一生懸命に……。
 僕は虎徹さんの動きが合わせて体を揺らした。
「おい、バニ―。動くなよ」
 虎徹さんの可愛い抗議の声。
「あっ、すみません」
 僕は思わず謝ってしまった。
 さっきの舌っ足らずな言葉に、僕は思わず欲情してしまいそうになった。でも、今の虎徹さんは子供だ。けしからんことをすることはできない。カリ―ナだっているし。
 それにしても、僕はいつから幼児趣味になってしまったのだろうか。
 ――いや、それは虎徹さんが相手だからだ。
 思わず勃たないように僕は気をつける。
 もし、幼い虎徹さんに反応してしまったら、僕は虎徹さんに一生口をきいてもらえないかもしれない。虎徹さんにだけは子供に欲情する変態と思われたくない。
 ……おじさんの虎徹さんに欲情するだけで既に変態か。
 全く。罪な人だ。虎徹さんは。真っ当だった僕を堕落させるなんて。
 虎徹さんが背中を流してくれた。幸せだ。
 カリ―ナは今頃気を揉んでいることだろう。ざまぁ見ろ。――って、僕も大人気ないですね。
 でも、僕と虎徹さんの住んでいるこの家に泊まりたいと言ったんだから、カリーナも覚悟はできてるんでしょうね、きっと。
「じゃ、今度は僕が虎徹さんの背中洗いますね」
「わかった」
 小さい虎徹さんと裸のおつきあい。夢なら覚めるな!
 小麦色の健康的な肌。南国の果物を思わすいい匂い。この年にしてフェロモンが出ている。――と思うのは僕の気のせいだろうか。
「ほら。こっち向いてください」
 僕はお腹を優しく洗う。そして、可愛い果実も……今ははっきり見える。
 やっぱりここも洗いませんとね。
 僕は泡だてた泡を果実に伝わせる。
「ん、ひゃっ。くすぐったいよぉ……」
 涙声の虎徹さん。その上目遣いに、ああ、僕の自身が反応しそうだ……。
「我慢してくださいね……」
 丁寧に泡をこすりつける。やがて虎徹さんの表情が軟化してきた。
「何か……きもちい……」
 虎徹さんの頬に朱が散る。
 いつもの虎徹さんの痴態を見せられているようで――僕は我慢するのに苦心した。
 今はまだ勃つ年齢ではありませんよね。虎徹さん。今日だけだとは思いますが。
 早く戻って欲しい気もするけど、この姿の虎徹さんも捨て難いし……うーん。
「バニ―ちゃん、すごく大きい……」
「え? 何がですか?!」
 アレのことだったら――こんな子供に大きくして、犯罪だと思われかねないけど……。タオルで隠してはいるが。
「――すごく大きい筋肉だな」
 虎徹さんは僕の胸筋をぺたぺたと触る。
「それは――僕は貴方と違ってトレーニングサボってませんから」
 筋肉のことだったのか……僕はほっとしたのと得意な気持ちがないまぜになってつい、横を向いてしまった。
 それに貴方もいい体してますよ、虎徹さん。
 子供になってもバランスの良い体型をしているし。
「逞しい、と言ってくださいよ」
 僕は照れ隠しにそう言った。
「うん。でも、子供の目から見ると一層大きく見えるものなんだな」
 そして、虎徹さんはまたぺたぺたと触る。耐えきれなくなって僕は――。
「さ、虎徹さん。入りましょうね」
「……うん。わかった」
 虎徹さんはちょっと残念そうな顔をして湯船に入る。
 ああ、危なかった……。
 僕も残りの部分を丹念に洗った。そして湯船に虎徹さんと二人。湯船がいつもより広く感じるのは、虎徹さんが小さいからだろう。虎徹さんもそう感じていたらしい。嬉しそうに、
「いつもより湯船が広いなー」
 と笑っていた。
 良かった。虎徹さんが嬉しそうで。そう思っていた時だった。
 ぴしゃっ。
 不意打ちを食らった。頬にお湯をかけられたのだ。
「もう、何て子供っぽいことするんですか、虎徹さん!」
「俺、今子供だもーん」
「そうでしたね」
 じゃあ、童心に帰って僕も遊んであげよう。僕はしばらく虎徹さんとふざけ合った。
 すっかりのぼせた僕達が戻って来ると、
「遅かったじゃない」
 と、カリ―ナの怖い声。
「おう。カリ―ナ。バニ―とお風呂、楽しかったぞ」
「それは良かったわね」
 硬い声で答えると、
「さ、私も入ってこようっと」
 と、カリ―ナは本を閉じてバスルームへと向かおうとした。
「寝ましょうか。虎徹さん」
「うん」
 カリ―ナは振り返ってものすごい剣幕で怒鳴った。
「あ……アンタら、一緒に寝るの?」
「おう」
「そうですが何か」
「何かって……はぁ」
 僕達の台詞にカリ―ナは溜息を吐いた。そしてこう言い置いた。
「いいこと、タイガ―。ハンサムが何か変なことしてきたら、真っ先に私を呼ぶのよ、いいわね」
 そんなに僕のことが信じられないか、カリ―ナ……。まぁ、言いたいことはわかりますがね……。
 でも、子供の姿の虎徹さんに悪戯したらいけないことぐらい僕だってわかってますよ。時々自制の箍が外れそうになるのが怖いけど。
「何言ってんだ、ローズ」
 虎徹さんが首を傾げた。
「――さぁね。それよりホットミルクでも飲みますか? よく眠れますよ」
「飲む飲むー」
「温めますのでちょっと待っててください」
 僕はコンロに牛乳を入れた鍋をかけて火をつける。牛乳が沸騰してきた。僕と虎徹さんの分。カリ―ナの分は後で淹れようと思った。
「虎徹さーん……」
 返事がない。
 虎徹さんはソファで眠っていた。虎徹さんは僕の睫毛が長い、と言っていたけど、虎徹さんも結構睫毛が長い。僕は虎徹さんの眠りを妨げないように、静かにテーブルにミルクの乗ったお盆を置いた。
 すぐに寝ちゃったんですね。仕様がないったら。――僕は思わずほっこりしてしまった。
 今日はいろんなことがいっぱいありましたものね。おやすみなさい。虎徹さん。
 僕は毛布を持ってきて虎徹さんの上にかけてあげた。

2012.11.9

後書き
バニ―ちゃんと虎徹のお風呂のシーン、せっかくだから見てみたいですよね。

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