お礼画面 

 ――ジャン、ジャン。
 時々あいつの呼ぶ声がする。あいつらしからぬ少し寂しげな表情が目に浮かぶ。
 それはサービスを亡くした時の、俺に似ていた。
「――アス」
 
 不毛地帯

 カッカッカッ カッカッカッカッ――
 靴音がする。多分、奴だ。
「しばらく見なかったな。ジャン」
 その言葉に、ジャンは振り向いた。
「随分偉そうになったな。……愚かな人間共め。こんな男を頼りにするとはな」
「アス。おまえこそ、少し太ったんじゃないのか?」
「久々に会って、話題がこれとはな。俺は、お前に訊きたいことがあったんだ。我々は、何の為に生きてたんだろうな」
「…………」
「まさかお偉い科学者さんになったのに答えられないのじゃあるまいな。俺達の手からは、夢も、希望も、野心もすり抜けてしまう。あるのはただ、互いだけ」
「……違う。それは違う」
「何が違うと言うのだ。事実は俺の言う通りだということは、お前の方がよくわかっているはずだ。
「……最後の審判は下されたのか」
「そうだ。我々にできることはただ一つ。眠ろう。我々が起こされるその日まで。永遠に近い眠りを――」
 ここは不毛地帯。
 草木一本も生えぬ――……

後書き
以前のお礼画面ヤヌスコンビ小説のもとになった話です。

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