ドアを開けると赤司様がいました 98

 ――あ、いい、いい……。オレは心の中で叫んだ。簡単に声は出してやらないんだ。そうすると赤司が凄く喜ぶだろうことはわかってはいるけれど。いや、だからこそ――。
 赤司の唇がオレのあそこから離れた。
「チョコレートとキミの匂いはまるで媚薬だね……」
 う……オレもそれに近いことさっき考えたけど……改めて言われると何だか恥ずかしい。
「キミのはもう、どろどろじゃないか……いいね……写真に納めておきたいよ……キミの全ての顔を写真にして保存しておきたいよ……」
 それはなるたけ勘弁してください。お願いします。
「お断りだって顔してるね」
「……何でわかるの?」
「オレだって、ずっと光樹と一緒に暮らしている訳ではないからね……」
 ――赤司はまた、オレの股間に顔を埋めた。
「あ、あん……」
 我慢出来なくて、上ずった声を出してしまう。赤司はキャンディバーをしゃぶっている子供のように喋った。
「美味しいよ、光樹……」
 ああっ! もうダメっ!
 オレは、赤司の口内で精を放ってしまった。赤司はそれを飲み込む。赤司は起き上がり、ふうっと溜息を吐いて、手の甲で口元に付いたチョコとオレの精液を拭い取った。
「随分早いね……でも、美味しかったよ」
 ううっ、早いのはアンタのせいだろうが……! 赤司の馬鹿ー!
「心外だって顔してるね。早いって言葉にそんなに傷ついたのかい?」
「う……」
 ――オレの気持ちなら手に取るようにわかるって訳か。オレも、赤司に対してはそうなりつつあると思うけど。
「いいんだよ。早くても。――オレは馬鹿にしないから。馬鹿にする方が馬鹿なんだよ。それに、オレが何度だって可愛がってあげるから――もうこれで終わりじゃないんだろ?」
 そう言えば、オレのモノはまた勃ち上がりかけている。
「随分元気だね。光樹。……若いからかな」
 そうかもしれないけれど、それだけではないと思う。――何度だって射精出来る。そんな自信さえある。
「また、チョコレートかけてあげようね」
 赤司は言葉の通りにした。でも、こんなオレに付き合ってたら、赤司は疲れないだろうか。
「赤司……疲れない?」
「大丈夫だよ。キミの媚態を見て、オレのもこんなになってるから」
 そう言って赤司は自分のモノを指差す。うう……見せつけないで。ペニスにはコンプレックス持ってるんだから……。また赤司のが綺麗で立派な代物と来てるもんだから……。
「でも、オレのにはちょっと我慢をしてもらおう……今は光樹を味わいたい」
 赤司は本当に挿入しなくても平気なんだろうか。オレは――挿入されたって別段構わないけれど――って、全く! 何を思ってんだ、オレは!
 こんなふしだらな体になったのも赤司のせいだからな! 後で覚えとけよ!
「むむ……」
 赤司は小さく舌を動かす。うう……気持ちいい……。オナニーなんかよりよっぽど……。
 というか、赤司を知ってから、オレは満足なオナニーが出来なくなってしまった。一応エレクトはするし、イクことはイクんだけど……赤司に抱かれた二、三日後だったかな。つまらなくなってやめてしまった。
 オレをこんな体にしたのはお前だぞ。赤司……。
 バスケは何度やっても飽きが来ないのになぁ……。こんなとこで思い出すこと自体、バスケへの冒涜か。じゃあやめる。
「あ、あ……」
 赤司は今度は簡単にイカせてくれそうにない。何だよ。早くても構わないって言ったくせに。赤司の嘘つき。
 赤司の舌が、俺についたチョコを綺麗に舐め取る。それでも、オレは今回は簡単にイかなかった。いや、イッてんだけど、そうそう射精はしないと言うか――。
「キミの体は快感を得ているようだけど、こっちの方はイキたくてふるふる震えて待ちわびているばかりだね……我慢させてごめんね」
 赤司が、かりっと敏感なところを甘噛みする。
「あ、ああ……っ!」
 今度は、さっきよりも出すのが多かった気がする。それでも、オレは衰えない。もっと赤司に触って欲しい。もっと赤司に……舐めて欲しい。
「ふぅ……キミのはまだまだ精気に満ちているね。あんなに出したのに、まだ勃っているよ……」
「赤司ぃ……オレはもういいから……」
「何を言うんだい! キミを悦ばせるのがオレの使命だというのに――!」
 変な使命感に燃えてんな。赤司……。それから、オレは赤司に舌で何度もイかされた。
「チョコレートの甘さと、キミの苦さの対比が旨いね。バレンタインデーでも、こんなに美味しいチョコレートは食べたことなかったよ。もうお腹いっぱいかもね」
 赤司……そんな冗談やめて……。オレはいい加減恥ずかしくなって手で顔を覆った。
「光樹? 可愛い仕草だね。……もっといじめてみたくなる。――キミは、オレの嗜虐心をそそるね……」
 赤司がそんなことを言うとは思ってもみなかった。ああ、この赤司は常識人で優しいと思ってたのに……。こういうところはもう一人の赤司にそっくりだよ。多分。
 でも、赤司は余裕綽々に見えるけど、本当はまだ出してなくて、ちょっと辛いんじゃないかな。――オレだって同じ男だからわかるんだ。イキ損ねたりすると欲求不満になっちゃうんだよな。
 オレが多少同情しながら赤司を見ると、ヤツは意地悪そうににやりと笑った。
「光樹……」
 欲情に駆られた赤司の掠れた声。すると――何と、赤司は自分のモノにもチョコをかけていった。
「舐めてくれないかい? 光樹」
 え? ええええええ?!
 そりゃ、ちょっとは覚悟してたけどさ……やっぱり実際にやるとなると――。
 オレが躊躇していると、赤司は多少困った顔をする。
「それとも、嫌かい? オレのは。――光樹はまっさらだからね。……嫌だったら嫌でいいけど……」
 だから、オレはまっさらなんかじゃないって言ったろ? 赤司は本気で言ったんだろうが、オレにはちょっと小馬鹿にされたように感じられる。
 それに、赤司には何度もイかされた恩(?)もあるし――。
 えーい、ままよ!
「――いただきます」
 オレは、赤司のモノを咥えた。――赤司のモノが大きくなる。
「ん……んぐっ」
「辛そうだね。光樹。無理はしなくていいから……」
 無理じゃないって……そう思いながら、オレは声を出さずに喉の奥で笑った。歯を立てないように注意して。
 オレは、本当に平気なんだから――。赤司はやっぱり優しい。
 ――オレは先っぽを舌を使って舐め始めた。さっきの赤司の真似。赤司から苦い樹液が出る。でも、何でだろう……不味いはずなのに、そんなに不味くないと思うのは。
 ……それどころか、美味しいとさえ感じるのは……。
 やっぱり、相手が赤司だからか? それとも、元々赤司のは美味しいのか?
 甘い匂いと、青い匂い。――赤司のは美味しい。
「は……あ……!」
 赤司が嬌声を上げる。――赤司は喘ぐ時の声も美しい。インキュバスみたいなヤツだ。インキュバスは美形で、強くて立派なモノを持っているみたいだからな。
「光樹……上手だよ……」
 オレは一生懸命とろとろのチョコを舐め取る。結構いっぱいかけたな。赤司のヤツ。――でも、まだ足りない。もっと、赤司の精を味わいたい。
「光樹……もういいから……」
「どうして?」
 赤司のモノから口を離したオレが言う。痛かった? 下手だった? でも、赤司はさっき、オレの舌技上手いって――。
「赤司はオレじゃイケない?」
「そんなことないよ――ざっくばらんに言ってしまえば、今でもすぐにぶちまけてしまいそうだ。ああ……」
 赤司の吐息が甘い。何だ。ひとに早いとか言っておいて。自分だってすぐに出してしまいそうだって……それに、オレに舐めろと言ったのは赤司だよ。
「ふぅ……気持ちいい……光樹がこんなに上手いなんて思いも寄らなかった。ちょっと休憩。オレの……サキュバス……」
「えっ?!」
「何驚いてるんだい? 光樹……」
 いや、びっくりした……。赤司にはテレパシー能力でもあるのか?
「オレ、さっき、赤司がインキュバスみたいだと考えていたんだよ」
「そうかい。それは光栄だね。しかし、インキュバスみたいに精力絶倫ではないと思うよ」
 そうかな……そんなことはないと思うんだけどねぇ……赤司だって充分強いよ……。
「赤司、赤司のはオレのと違って美味しいね」
「光樹……オレは自分のは舐めたことないから、比較の対象がないが、光樹の方が美味しいと思うよ」
「じゃ、試してみる?」
 オレは狡く笑った。オレの中の正常な部分がやめろと警告を発している。だけど、オレは……オレも変態かな。赤司のせいで変になっちゃった。それとも……元々素質があったのかな……自分じゃ認めたくないけど。
「赤司。自分のも舐めてみる? そら」
 まだチョコが残ってたから、それと共に赤司のを絡めた指を赤司の口元に持って行った。赤司がオレの指を舐める。赤司の舐め方はエロい。
 オレも――また勃ってしまう。あんなに出したのに。
「なるほど……不味くはないが……何とも言い難い味だな……光樹の指の方が美味しいよ……」
 オレは、しばらくべちゃべちゃと赤司に指を舐められていた。そんな赤司の姿を見ているだけで、オレのアレは大きく膨れ上がっていった。

後書き
えりょシーンは拙いけれど、降旗クン、必死に実況やってます。
……私ももっと頑張ります……。
2019.12.24

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